◇韓国の劇場メッカ、大学路(テハンノ)小劇場で始まった韓国創作ミュージカル『メイビー、ハッピーエンディング』が「公演界のアカデミー賞」と呼ばれるトニー賞で作品賞をはじめ6冠に輝いた。「韓流元祖」であるK-POPや映画、ドラマに続き、相対的に肩身の狭かった公演や美術、文学などまで世界の舞台で認められ、Kカルチャーはグローバルステージの次なる段階へさらに飛躍しようとしている。その現況と課題を点検するシリーズを3回にわたって連載する。
韓国ミュージカルとしては初めてトニー賞作品賞など6部門を受賞した『メイビー、ハッピーエンディング』は開発段階からグローバル進出を念頭に置いた適切な支援を滋養分として、ミュージカルの本場で花を咲かせた事例だ。この作品は2014年「友蘭(ウラン)文化財団」の支援事業を通じて芽吹き始めた。コンテンツ開発プログラムである「SEEYA STUDIO」に脚本家のパク・チョンヒュ氏、作曲家のウィル・アロンソン氏のコンビが選ばれ、財団は2人と疎通を続けながら密着支援した。
ブロードウェイ進出を可能にした英語バージョンの開発アイデアもこの過程から出た。当時友蘭(ウラン)文化財団所属プロデューサーとして参加したライブラリーカンパニーのキム・ユチョル本部長は「米国ブロードウェイ舞台で上演されるミュージカル作品の相当数は非営利団体での開発過程などを経て商業プロダクションへの段階を踏む」とし「国内ミュージカルもこのような『熟成の時間』が必要だと考えた」と話した。このようにグローバル市場進出に活路を開く適切な支援プログラムが、これまで力をつけてきたKカルチャーの競争力の後光効果と相まって、韓国演劇も次第に世界の中心に近付いているという評価がある。
韓国文化芸術委員会の「創作産室」のような国家支援プログラムの効果も蓄積される様相だ。同名の原作小説をミュージカルにした『アーモンド』は「2021年創作産室 今年の新作」デモ公演を経て2022年韓国で初演を果たし、今年日本市場に進出する。
『メイビー、ハッピーエンディング』以外にも海外市場の扉を叩いて著しい成果を出している韓国生まれのミュージカルは次々と登場している。『マリ・キュリー』は2020年韓国初演後、じわじわと海外市場に進出していった。2022年ポーランド・ワルシャワのミュージックガーデン・フェスティバルでグランプリ「The Golden Sprinkler Award」を受賞し、2023年日本でライセンス公演で初演されたことに続き、昨年は英国ロンドンの現地プロダクションで長期公演を行った。『ファンレター』は2016年韓国初演以降、中国と日本市場でも多くの観客を迎えた。昨年「中国ミュージカル協会年次授賞式」で主演男優賞、助演男優賞など7部門を席巻した。製作会社「LIVE」のカン・ビョンウォン代表は「韓国公演を単純に翻訳するだけにとどまらず、現地産業構造の中に編入して成果を出すべく努めている」と伝えた。
最初から海外で現地言語で製作して上演する韓国ミュージカルも登場した。ODカンパニーのシン・チュンス代表が単独リードプロデューサーを務め、昨年4月ブロードウェイで、先月英国ウェストエンドでも公演した『グレート・ギャツビー』がそれだ。
このような成果の背後にはKカルチャーの成功先例が隠れているという。順天郷(スンチョンヒャン)大学公演動画学科のウォン・ジョンウォン教授は「K-POPやドラマ、映画の成功事例でグローバル市場で韓国文化に対する全般的な信頼度が上昇した」とし「『メイビー、ハッピーエンディング』のトニー賞席巻は韓国ミュージカルにも翼をつけるだろう」と予想した。
◇コンクール受賞を越えて宗主国として安着
韓国クラシックは「大会受賞」水準を越えて成熟段階に入った。
それぞれ2010年、2022年国際コンクールで優勝したピアニストのチョ・ソンジン氏とイム・ユンチャン氏は世界一流のコンサートホールでの公演を満員にし、指揮者の鄭明勲(チョン・ミョンフン)氏はオペラの宗主国であるイタリア・スカラ座の音楽監督に任命された。
このようなスターがクラシック市場を牽引(けんいん)した影響で、国際舞台で活動する韓国音楽家は至るところに布陣している。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にはビオリストのパク・ギョンミン氏が6年間正式団員として活動していて、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団でも初めての韓国系バイオリニストであるチョ・ハンナ氏が9月正式団員になる予定だ。シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)ではバイオリニストのイ・ジユン氏が450余年の歴史上初めての東洋人コンマス(コンサートマスター)として活動中で、フランス・パリの名門楽団であるフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団のコンマスもまた、韓国人のパク・ジユン氏が務めている。
米国ロサンゼルス・フィルハーモニックはこのような韓国クラシックの水準に注目した。今月3~10日(現地時間)、「ソウル」をテーマにLAのウォルト・ディズニーホールでフェスティバルを開いて韓国の若手作曲家、指揮者、音楽家に集中的にスポットライトを当てた。フェスティバル芸術監督を務めた作曲家のチン・ウンスク氏は「韓国は現在、圧倒的な音楽強国だ。国の大きさを考えると驚くほどで、比較する国がない」と語った。
2025/06/11 13:22
https://japanese.joins.com/JArticle/334881