中国自動車、過去最大実績も「チキンゲーム」危機…「工場はこれ以上建てない」

投稿者: | 2025年6月11日

◆「工場はこれ以上建てない」…吉利会長の宣言が意味すること

中国自動車産業の輸出が過去最大となっているが、業界では危機感が高まっている。電気自動車の人気と共にグローバル市場で中国車の地位が高まったが、実情は「チキンゲーム」のような内部消耗戦で産業全般が厳しい。中国経済紙の第一財経によると、7日に重慶で開催された「2025中国自動車重慶フォーラム」で吉利汽車の李書福会長は「世界自動車産業はすでに飽和状態」とし「吉利はこれ以上工場を建てない」と明らかにした。李会長は「従来のグローバル生産能力を最大限に活用し、資源の統合と実用的な協力に集中する」と強調した。それだけ自動車の供給過剰が深刻ということだ。

 同じ席で長安汽車の朱華栄会長も「中国には70余りのローカルブランドに数十の海外ブランドまでが乱立している」とし「無分別な価格競争と虚偽広告、資本流入が市場の秩序をかく乱している」と指摘した。供給があふれて需要は減る二重の危機の中で業界関係者らは「政府補助金が消えれば誰が生き残るだろうか」という冷笑的な反応だ。

◆稼働率50%下回っても…依然として建てられる工場

中国自動車産業の慢性的な問題は「量的膨張」に傾いた産業構造だ。中国自動車産業は大型国有企業中心体系から民間中心に変わり、電気自動車スタートアップが次々と登場しながら過剰投資が続いた。この数年間、中国不動産市場の不振のために地方財政と銀行貸出、民間資本など行き場を失った資金が自動車産業に流れた。

2024年の中国の自動車販売台数は3100万台、このうち電気自動車が1000万台だ。ところが中国の年間自動車生産能力は7000万台に達する。このうち上位20の主要企業が全体市場の70%を掌握している。2023年の上海GMの稼働率は22%であり、東風日産の武漢工場は年間30万台規模の設備を備えるが実際の稼働率は10%にもならない。

営業利益率も急落した。2014年に8.99%だった業界平均営業利益率は今年1-3月期基準で3.5%まで下落し、全体の製造業平均(5.8%)を大きく下回る。生産はストップしたが、各地方政府は依然として工場の新設・増設を進めている。

最近、長城汽車の魏建軍会長は「自動車版の恒大が近く出てくる」と警告した。特定企業(BYD)を狙ったような発言に業界は騒々しくなった。2021年に巨額の負債を抱えて破産した恒大事態が自動車産業でも再現されるという懸念が提起されたのだ。

◆世界市場に目を向けた中国車…新興市場「空襲」

国内での過剰を海外で解消しようとする動きはすでに本格化している。昨年、中国の自動車輸出は641万台と、2年連続で世界1位となった。このうち電気自動車が201万台、内燃機関の車が440万台だった。電気自動車世界1位のBYDは最近、一部のモデルの価格を最大34%まで引き下げ、輸出を拡大した。生産過剰による「低価格攻勢」がグローバル市場を強打している。

中国国家統計局の数値によると、昨年の中国の最大輸出国はロシア(115万8000台)だった。日本、欧州、米国の自動車が撤収した中、吉利、長安など中国ブランドが市場を次々と掌握した。中国はロシアをはじめ東南アジア、中南米、中東、アフリカなど新興市場に積極的に進出している。世界最大自動車輸出国の地位はしばらく維持する可能性が高いという分析が出ている。

◆韓国、自動車界の「Temu」「Ali」に緊張

韓国自動車業界も中国発「自動車Temu」に緊張している。欧州・北米市場は反ダンピング・補助金制裁で防御に入ったが、制裁が弱い新興市場では中国の低価格攻勢が威力を発揮しているからだ。世界自動車市場の実情もよくない。2024年、米国の自動車販売台数は1590万台、欧州は1284万台と、ともにコロナ以前より低調だ。トランプ発関税に対する懸念のほかにも韓国自動車企業が直面しているグローバル自動車市場はかなり厳しい。

2025/06/11 14:30
https://japanese.joins.com/JArticle/334885

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