グローバル自動車業界が防衛産業に目を向けている。防衛産業企業と協業して装甲車のような軍用車両のほか、自動運転技術を活用した戦闘用ドローンの開発に動き始めている。世界的な不確実性と電気自動車キャズム(需要停滞)で成長が停滞する自動車業界が突破口を見いだそうとしていると解釈される。
12日の自動車業界によると、グローバル自動車企業の相当数が防衛産業市場への進出を検討または推進中だ。フォルクスワーゲンのオリバー・ブルーメ最高経営者(CEO)は3月、「防衛産業進出の可能性を残している」と明らかにした。ドイツ防衛産業企業ラインメタルはフォルクスワーゲンの工場を買収して装甲車生産施設に転換することを検討している。
最近の戦争トレンド「ドローン戦」も自動車業界と防衛産業業界のシナジー期待を高める。ロイターは9日(現地時間)、フランス国防省が自国の自動車企業ルノーに対し、防衛産業の中小企業と協力してウクライナでドローンを生産することを要請したと報じた。産業研究院のチョ・チョル研究委員は「自動運転・電気自動車開発技術はドローンとも関係が深く、モビリティー産業は今後、都市航空交通(UAM)市場まで眺めているため、軍用ドローンの生産に向かうのもおかしなことではない状況」と話した。
特にロシア-ウクライナ戦争で低価格型ドローンが攻撃用として活用され、ドローン大量生産需要も高まった状況だ。Nikkei Asiaは6日、日本の二輪車・エンジン製造企業カワサキモータースのドローン開発を扱った。これによると、カワサキは仏スタートアップのボルトエアロ(VoltAero)と協力して時速600キロで最大2700キロを飛行できるドローンを開発している。2030年までに年間ドローン5000機を生産するのが目標だ。
軍用車両に電気・水素自動車のような新技術も次々と導入されている。起亜は水素燃料電池を動力とする軍用「水素軽戦術車両」を開発し、軍用車両の電動化に対応中だ。内燃機関の車と比較して発熱と騒音が小さく、敵に露出する危険が低いというメリットがある。西京大のアン・ヨンス軍事学科教授は「伝統的な自動車企業は過去の戦争当時、航空機エンジンを製作したほど技術力を備えている」とし「革新技術と量産力でシナジーを出せるだろう」と予想した。
自動車業界が防衛産業に進出するのは業績不振危機を克服するためだ。キャズムやトランプ米大統領の関税引き上げなどの影響で成長の限界に直面している状況で出てきた妙手ということだ。実際、主要自動車企業はリストラを進めている。ボルボは役職員およそ3000人を削減すると明らかにした。フォルクスワーゲンは2030年までに3万5000人の職員を減らすことを決め、すでに7000人以上を解雇した。
2025/06/13 09:10
https://japanese.joins.com/JArticle/334973