南米で穴を掘る韓国の商社マン…輸出の尖兵から安全保障の尖兵に(2)

投稿者: | 2025年6月17日

◇「鉱物覇権」中国の供給網掌握法

世界的な鉱物供給網で影響力が最も強い国は中国だ。世界で4番目に広い約960万平方キロメートルの国土面積を持つ中国にはさまざまな鉱物資源が豊富にある。しかしこれだけでは説明が不足する。ベトナム、ブラジル、ロシアなど他の地域にも少なくないレアアースが分布しているためだ。

 中国が世界の鉱物供給網を掌握したのは採掘そのものではなく、その次の段階である鉱物「加工」からだ。自然から掘り出した鉱物の塊を物理的に割って選別し、化学反応を通じて目当ての元素を分離・抽出(製錬作業)する作業だ。中国は1990年代から加工産業を育成した。採掘に集中した他の国を締め出して製錬技術の格差を広げた秘訣だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は昨年、精製黒鉛の95%を供給し、レアアースの91%、マンガンの91%、コバルトの78%、リチウムの70%など核心鉱物の精錬加工をほとんど掌握した。

他の国はなぜ鉱物加工技術を発展させることができなかったのだろうか。環境問題が大きい。鉱物を分離・抽出する際に毒性のある気体と廃水などが発生する。韓国国会立法調査処によると、レアアース1トンを抽出するのに硫酸など毒性ガス6300万リットル、酸性廃水20万リットル、放射性物質1.4トンなどが発生する。環境規制が厳格な先進国は浄化費用に耐えることができず鉱物加工を試みることすら難しい。

ロイター通信のエネルギー専門記者、アーネスト・シェイダー氏は昨年出版した著書『鉱物戦争』で、世界最大のリチウム生産国のチリとオーストラリアが現在は加工を中国に任せることになった過程を伝えた。彼は「米国は第2次世界大戦以降にレアアース産業を開拓したが、産業全体が中国にシフトするのを傍観した」と指摘した。

中国の鉱物供給網統制を警告した米ジョージ・ワシントン大学システム工学科のジョン・ポール・ヘルベストン教授は中央日報との電子メールインタビューで「鉱物加工分野は中国が世界で最も多くの専門人材と最も優秀なインフラを持っている。米国などがこれに追いつこうとするならば少なくとも10年以上はかかるだろう」と話した。

◇鉱物安全保障点数、韓国35点・日本70点

中国鉱物に対する韓国の依存度はさらに大きくなっている。韓国地質資源研究院が2日に発表した「2025年希少金属原材料貿易分析現況」と題する報告書によると、韓国政府が指定した37種類の核心鉱物のうち22種類は昨年の中国からの輸入の割合(輸入額基準)が前年比で増えた。中国からの輸入の割合が85%だったレアアースとリチウムの依存度は昨年88%と87%まで高まった。半導体に使われるガリウムの中国依存度も43%から75%と非常に高くなり、バッテリー素材であるコバルトは19%から29%に増え中国が輸入元1位に上がった。

輸入量の状況はもっと深刻だ。韓国貿易協会によると、電気自動車に使われるレアアース永久磁石の昨年の対中輸入依存度(重量基準)は99.3%、電子回路などに使われるレアアース金属の依存度は80%に達した。二次電池の正極材と負極材に使われる人造黒鉛は98.8%、天然黒鉛は97.6%、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)前駆体は94.1%と全面的に中国に依存している。

韓国政府が資源安全保障に消極的という懸念も出ている。2024年の鉱業要覧によると、韓国政府が海外資源開発に向け韓国鉱害鉱業公団に出した支援金は2014年の378億ウォンから2023年には14億ウォンまで減った。政府の役割は減り民間投資にだけ依存したため2023年には6大主要鉱物である有煙炭、ウラン、鉄、銅、亜鉛、ニッケルに対する国内資源開発率は34.4%にとどまった。

これに対し日本は海外資源開発に向けた官民協力体系が定着している。2004年に設立された独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が出資や債務保証の形で資金を支援すれば、民間企業が世界的ネットワークで市場を開拓する方式で核心資源を確保する。韓国経済人協会によると2023年に日本の6大主要鉱物資源開発率は韓国の34.4%の2倍を超える69.9%だった。仁荷(インハ)大学エネルギー資源工学科のカン・チョング招聘教授は「輸入先の多角化を超え、直接資源を探査し採掘・加工する技術を備える必要がある」と話した。

2025/06/17 13:36
https://japanese.joins.com/JArticle/335117

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