14人の死傷者を出したソウル市庁駅逆走惨事から1日で1年を迎えた。昨年7月1日、チャさん(69)が運転していた車両がソウル中区(チュング)市庁駅付近の一方通行道路を逆走して歩道に突進し、9人が死亡するなど14人の死傷者が発生した。事故原因を巡り、1審裁判部はチャさんがペダルを正確に操作できない過失による事故だとみて、禁錮7年6月を宣告した。だが、チャさんは控訴審で依然と車両欠陥による急発進を主張している。最近、高齢運転手による事故が相次ぎ、関連の対策準備が急がれるとの指摘が出ている。
急発進事故に備えて歩行環境は少しずつ改善されている。ソウル市は事故直後、該当地点に8トン車両が時速55キロ、15度の角度で衝突しても歩行者を保護できる車両用防護ガードレールを設置した。すでに設置されていたガードレールは単に歩行者の違反横断を防ぐ用途として1メートルあたり20万ウォン(約2万1300円)の設置費がかかっていたとすると、車両用防護ガードレールは1メートル40万ウォンの設置費がかかる。ソウル市は警察庁など関連機関との合同調査を通じて交通事故が発生する可能性の高い歩行脆弱区間101カ所に防護ガードレールを設置している。また、運転手が走行方向を間違えやすい一方通行二面道路の視認性も改善している。市関係者は6月30日、「58カ所の一方通行区間にUターン(転回)禁止や進入禁止交通表示板をLED表示板に交換し、事故懸念地域を発掘して改善していく計画」と明らかにした。
だが、高齢運転手の事故予防のために制度改善が先だという指摘も出ている。6月30日、韓国道路交通公団交通事故分析システムによると、65歳以上の高齢運転手による交通事故は2020年3万1072件から昨年4万2369件へと36.4%急増した。同じ期間、全体交通事故は20万9654件から19万6349件へと減少した。反面、高齢運転手による事故の比率は2020年14.8%から昨年21.6%へと大幅に上昇した。関連統計が作成された2005年以降、最も高い値だ。
◇ペダル踏み間違え25%が65歳以上の運転手
高齢運転手による事故の主要な原因としては老化による身体機能の低下が挙げられる。ペダルの踏み間違えも多い。サムスン火災交通安全文化研究所が2019年~2024年ペダル誤操作事故を分析した結果、25.7%が65歳以上の運転者によるものだった。これに対して市は昨年9月に国民権益委員会とともに交通事故予防のための公開討論会を開いて中央政府に条件付き運転免許制導入を建議した。条件付き免許の発給を受けた運転手は日中に限って運転が可能か、運転距離が一日平均100キロ以内に制限される。
討論会の発表者だったソウル大学環境大学院のハン・サンジン教授は「条件付き免許は高齢者の運転を制限するのではなく、安全に長く運転することができるように機会を与えること」と話した。市は70歳以上の運転手の免許返納も促している。免許を返納する場合、20万ウォン相当の交通カードを支給しているが、返納率は低調であることが分かった。
◇日本はペダル誤操作防止装置の搭載を義務化
市は別の対策としてペダル誤操作防止装置導入も建議している。日本国土交通省は2028年からペダル誤操作防止装置の搭載を義務化した道路運送車両法改正案を最近発表した。改正案によると、この装置は前方1.0~1.5メートルに障害物がある場合、運転者が加速ペダルを踏んだ場合にも時速8キロ未満に維持するように抑制する。2019年東京池袋で元高位官僚出身の87歳高齢運転者がペダルを踏み間違えて横断歩道に突っ込み、計11人の死傷者を出した事故が契機となった。ソウル市のヨ・ジャングォン交通室長は「市庁駅事故から1年を迎えてこれまでの対策履行状況を点検し、今後もこのような残念な事故が再発しないように歩行者の安全を最優先に考える交通政策を引き続き推進していく」と話した。
2025/07/01 10:40
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