在日米軍のスティーブン・F・ジョスト司令官は28日「在日米軍の権限は徐々に拡大するだろう」と明らかにした。「インド太平洋地域における中国の脅威が深刻化している」とした上での発言だが、問題は在日米軍の強化が在韓米軍の戦力低下につながる恐れがある点だ。米国のトランプ政権からは「在韓米軍の戦時作戦統制権移管と共に在韓米軍司令官は中将とし(従来は大将)、現在中将となっている在日米軍司令官を大将として国連軍司令官を兼任させるべきだ」との声も出ているという。米国は早ければ8日に発表する新たな国家防衛戦略(NDS)で在韓米軍と在日米軍の新たな運用方針について公開する見通しだ。
在韓米軍はすでにブランソン司令官の指示で上下逆さまになった東アジアの地図を内部の教育用に使用しているという。この地図を見ると北朝鮮よりも台湾やフィリピンがより目に付きやすい。在韓米軍司令部のある平沢基地を起点に台北やマニラまでの距離も記載されている。中国が台湾を侵攻し、あるいは南シナ海で衝突が起こった場合、米軍が強調する「戦略的柔軟性」に基づき在韓米軍がどう動くべきかを念頭に置いたのがこの地図だ。
トランプ政権発足後、在韓米軍の削減や移転を予想する声が常にささやかれている。米国のヘグセス国防長官は「米国は常にあらゆる場所にいることはできず、その必要もない」と発言し、また在韓米軍のブランソン司令官は韓国について「日本と中国の間にある空母のようなもの」として「われわれは時に別の地域に移動しなければならない」と述べた。李在明(イ・ジェミョン)大統領は中国による台湾侵攻について「宇宙人による地球侵略」として「不可能」と断言しているが、米国防長官は2027年に実際にそれが起こると警告している。中国が台湾を攻撃し、同時に北朝鮮をけしかけ韓半島に第2の戦線を形成する可能性も考えられる。そうなれば実に深刻な事態だ。
このような状況で韓国政府は李在明大統領の公約に基づき任期中の戦時作戦統制権移管に向けた準備作業を進めている。国政企画委員会は国防分野における第1の重要課題を戦時作戦統制権移管と明確にし、その実現に向けたロードマップを近く韓国大統領府に提出する予定だ。
戦時作戦統制権を移管するのであれば、まずその結果がどうなるか考えておかねばならない。米軍は伝統的に外国軍将校の指揮を受けることはない。また今の米軍の雰囲気からすると在韓米軍は格下げされ在日米軍の指揮下に入る可能性が考えられ、あるいは時間が過ぎれば削減されるかもしれない。それによって韓国は何が得られるのか。戦時作戦統制権移管がそれらを相殺できるほど韓国にとって大きな国益になるのか、今こそしっかりと考えておかねばならない。
2025/07/01 10:00
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