トランプ氏と正式な挨拶も済んでいないのに…「中国、9月戦勝節への李大統領招待を打診」(2)

投稿者: | 2025年7月2日

◇朴元大統領、北朝鮮の核への協力を期待して出席

当時朴元大統領が外交的決断を下したのは、北朝鮮の核問題などで中国の責任ある役割と前向きな立場変化を牽引(けんいん)することができるという判断のためだった。同年11月、ソウルで4年5カ月ぶりに韓日中首脳会議を開催するなど中国も呼応するかのようだった。

 だが、翌年北朝鮮が4回目の核実験(1月)や長距離ミサイル発射(2月)など高強度の挑発に出たが、中国は韓国の高官協議の要請にも応じなかった。韓国は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の配備決定を下し、中国が報復に出て両国関係は急激に悪化した。

朴元大統領の中国戦勝節行事への出席は韓米同盟にも影響を及ぼした。米国務省は当時「閲兵式に出席した各国の決定を尊重する」としつつ、事実上不快さをにじませた。朴元大統領の出席を米国が引き止めたという日本メディアの報道もあった。伝統的に韓米同盟を最優先に置く保守派の朴槿恵政府に対してオバマ政府は終始高い信頼を寄せていたが、一定水準の亀裂は避けるのは難しかった。

今は当時よりも米中間の戦略競争はさらに厳しさを増している。米国対中ロを中心にした陣営間の対決構図もますます深刻化している。どのような選択をしても相当な機会費用を甘受しなければならない「高次外交方程式」が李在明(イ・ジェミョン)政府に与えられた格好だ。

また、戦勝節が開かれる天安門広場は1989年民主化デモに対する流血鎮圧が起きた場所でもある。

人権弁護士出身である点を強調する李大統領が天安門望楼に立つこと自体が人権など普遍的価値を重視しないことではないかという不要な誤解につながる懸念もある。

慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「韓国大統領の戦勝節出席は過去の前例からも分かるように、政治的負担が大きく引火性が非常に高い事案だが、中国が招待を推進するのは韓国に微妙な圧力を加えようとするものだとみられる」とし「戦勝節を機に李在明政府の対中政策基調を探り、さらには米中戦略的競争構図で韓国の選択を圧迫しようとする狙いもある」と話した。

◇戦勝節1カ月後に韓国でAPEC会議

特に今回の戦勝節は時期的にも微妙だ。先月4日に就任した李大統領はまだ米国のドナルド・トランプ大統領と対面挨拶もできていない。韓国政府はできるだけ早く李大統領の訪米などを通した韓米首脳会談開催に向けて努力するという立場だが、関税や国防費引き上げなど懸案が複雑に絡まっていて日程調整が容易ではない雰囲気だ。トランプ大統領との首脳会談成功前に中国戦勝節出席について決定を下さなくてはならない場合、韓国政府の悩みは一層深まることになる。

首脳外交の順序が与える含意を考慮すると、このような日程自体が韓国政府には負担として作用する場合がある。これに先立ち、朴元大統領は2015年9月中国戦勝節出席に先立ち6月に訪米する予定だったが、中東呼吸器症候群(MERS)事態への対応で日程が延期になった。これを受けて天安門で習主席に先に会い、それから約1カ月後にバラク・オバマ大統領とようやく会うことができた。これについて「訪米よりも訪中が先に行われて順序が前後した」という評価が出た。

加えて今回は戦勝節以降の10月末に韓国主催のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が予定されている。習主席の出席は会議開催成否を分ける重要な要素の一つだ。中国がこれを李大統領の戦勝節出席を引き出すための交渉力向上の手段として利用するかもしれないという指摘もある。

日本共同通信は6月29日、「中国が9月戦勝節行事にトランプ大統領を招く方針」としながら「米国も同月開かれる創設80周年国連総会に習主席を招待するだろう」と報じていた。ただし、現在の情勢を考慮するとトランプ大統領の戦勝節出席の可能性は低いというのが韓国政府周辺の評価だ。習主席も2015年国連創設70周年総会を除いて出席したことがない。

韓国外大国際地域大学院のカン・ジュンヨン教授は「新政府の外交・安保政策と人的ラインがまだ十分に整備されなかった状況で中国の招待を性急に受け入れるのは負担となる場合がある」とし「北大西洋条約機構(NATO)首脳会議には参加せず中国の大規模な閲兵式に大統領が直接出席すれば誤解を招きかねない」と話した。

2025/07/02 09:23
https://japanese.joins.com/JArticle/335744

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