ボックス相場でなかなか上がらなかった韓国証券市場が今年に入り先進国の証券市場を上回る上昇率を記録している。昨年から韓国取引所を率いる鄭恩甫(チョンウンボ)理事長は、証券市場の浮沈をいずれも経験した。前政権の「バリューアップ(企業価値向上)プロジェクト」から現政権の「KOSPI5000」まで、証券市場の浮揚という核心課題を抱えている。先月30日に韓国取引所で会った彼は「年内にKOSPI最高値(2021年7月、3305.21)を超えるのが目標で、そうできるとみている」と明らかにした。
――昨年まで韓国証券市場が疎外された理由は何か。
「最初に、産業競争力問題だ。伝統的製造業基盤である韓国経済が継続して成長モメンタムを見つけられるかということだ。2番目に、株式市場で企業と投資家の間で情報の非対称性がとても大きい。投資家の利益保護が不足したためディスカウント(低評価)が発生したと考える」
――今年に入ってなぜ良くなったのだろうか。
「これまで政府が証券市場低評価解消を掲げ、新政権発足で投資家の利益保護が確実に推進されないだろうかとの期待感が大きくなったためだ。ここにこの2年間に株価があまりにも下がり価格メリットもできた」
――KOSPIはどこまで上がるだろうか。
「年内に過去最高値(終値基準、2021年7月6日の3305.21)3300ポイントは突破するという目標だ。情報非対称性を減らし投資家保護政策でコリアディスカウントだけ解消しても(突破は)可能だと考える。ただ新政権が標榜する5000以上に行くには産業競争力に対する懸念が解消されなければならない。民間企業が投資を増やして新しい収益モデルを作ってこそ可能な目標だ」
――投資家保護策として商法改正が議論されているが。
「商法であれ、資本市場法であれ、企業全体ではなく上場企業をターゲットとするのが良いと考える。少数株主がない多くの未上場企業まで公権力が介入する必要はなさそうだ。集中投票制も進められなければならないが、経営権に対する保護案もともに議論されなければならない。過去には世界的企業に成長するのに100年はかかったが、いまや10年で出てくる時代だ。企業経営権が保護されてこそ韓国企業が早く資金を調達し世界的企業と競争できる」
――取引所が重点を置く課題は何か。
「これからは証券市場構造改善に注力したい。市場にいわゆる「ゾンビ企業」がとても多いが、事業化に失敗したこうした企業が株価操作など不公正取引の温床になったりもする。これらを早く締め出すための方法を検討している。時価総額を比較すると韓国は米国の30分の1にしかならないが、上場企業の数は半分だ。上場企業がとても多いという話だ」
――新規上場がとても容易だという指摘もあるが。
「韓国は成長し続けなければならない国なので新しい企業が上がってこられるようできるだけ門戸を開けてやらなければならない。日本の『失われた20年』の前轍を踏まないためには鉄鋼のような既存の製造業の代わりに防衛産業、液化天然ガス(LNG)船舶と超大型遊覧船、原発など高付加価値製造業やAI(人工知能)、ヒューマノイドのような先端技術企業が投資を受けられるようにしなければならない。そこでAIなど技術企業がファーストトラックで上場できるAI特例上場制度を積極的に推進したい。もちろんこれと同時に事業化に成功できない企業は速やかに退出させる制度もともに推進する。年内に制度の輪郭が出てくるだろう」
――来年からニューヨーク証券取引所、ナスダックが24時間取引を導入するなど取引所間の競争も激しい。
「米国の取引所が24時間動けば韓国の投資家も昼間に米国株式を取引できる。世界の取引所との競争開始だ。われわれも取引時間を増やして最終的に24時間取引に進むほかない。また、新成長動力を作るために暗号資産上場指数ファンド(ETF)やトークン証券(STO)なども韓国の資本市場が早く準備しなければならない」
――韓国資本市場の成長の可能性はどのように見るか。
「成長潜在力はどの市場より高いと考える。1人当たり国内総生産(GDP)が3万6000ドルに高まり資産の量も増えているが、不動産は人口構造上、特定地域を除けば超過収益を出すのが難しくなる。結局不動産に偏った家計資産が金融資産に移ってきて不動産と金融の資産割合が逆転し、資本市場規模が大きくなるほかない。重要なことはこの資産が韓国市場にとどまれるよう新産業を育成し続けることだ」。
2025/07/02 09:30
https://japanese.joins.com/JArticle/335746