米トランプ政権が7日に相互関税施行時期を来月1日に延期した。新たに設定された交渉デッドラインまで3週間ほど残ったが、韓国政府は韓米産業・技術協力などをまとめた「製造業ルネサンスパートナーシップ」をてこにして関税引き下げ総力戦に出る方針だ。
韓国産業通商資源部によると、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長はこの日、米国の相互関税書簡発送直後にラトニック米商務長官と会い交渉を継続した。この席で呂本部長は米国側に韓国が米国の長期の同盟国として信頼できる「特別なパートナー」である点を強調した。韓国の先端産業と製造業能力、両国間で緊密に関連した産業供給網などを考慮すると韓国が米国の製造業再建に向けた最適な相手である点を表明したのだ。
また、貿易収支均衡を要求する米国側に呂本部長は「両国間の製造業協力が貿易拡大均衡を達成できる効果的な手段」と強調した。こうした製造業協力提案が成功裏に履行されるためには相互関税と自動車・鉄鋼などに課された品目関税の撤廃などが必要である点も強調した。
通商当局が交渉カードとして両国間の産業・技術協力を出すのは韓国の相対的な長所を印象付ける戦略だが、米国が要求する非関税障壁の緩和と農産物市場の開放などが現実的に容易でない影響もある。米国はオンラインプラットフォーム法、網使用料賦課、高精密地図搬出問題など韓国のデジタル障壁に対する不満の声が高いという。今月初めには米連邦下院議員43人がトランプ政権に韓国のオンラインプラットフォーム法問題解決を促したりもした。だがこの法律は李在明(イ・ジェミョン)大統領の公約事案で、配達手数料など小商工人政策とも絡まっている。
米国が要求する月齢30カ月以上の米国産牛肉と、コメやリンゴなどの輸入拡大などは農民の激しい反発が予想される。合わせて韓国政府は貿易赤字解消に向け米国産液化天然ガス(LNG)輸入拡大カードを考慮しているが、米国は投資と建設、購入を合わせた「アラスカプロジェクト」への参加を望んでいる。だがリスクが大きく政府の立場でも簡単に決定を下せずにいる。
高麗(コリョ)大学国際大学院のパク・ソンフン名誉教授は「政権序盤である点などを考慮すると非関税障壁解消などは反対世論に直面する場合には社会的混乱につながりかねない。米国が必要として韓国が強い造船や半導体など先端産業分野の協力案をてこにしなければならない」と説明した。造船分野協力の場合、米国の意志も大きい。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは最近、「トランプ政権が2026年に1500億ドルの国防費のうち300億ドルを海軍艦艇建造などに使う予定で、韓日との造船協力拡大を期待している」と伝えた。訪米中の大統領室魏聖洛(ウィ・ソンラク)安保室長はこの日、ルビオ米国防長官と会い韓米造船分野協力を議論した。
防衛費と為替相場問題など米国の要求を拡張してひとつにまとめて関税引き下げカードとして活用すべきという提言も出ている。西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「韓米交渉は通商の領域だけにとどまらず、防衛費や将来の国内総生産(GDP)比の国防費支出の割合、米国債に対する安定的需要先として、韓国の役割や為替相場問題などを包括的に議論する必要がある。トランプ大統領が望む『ワンストップショッピング』方式のパッケージディールが関税を下げるのにも効果的だろう」と説明した。
呂本部長は「3週間ほどの時間を確保したが、余裕ある時間ではない。本格的に交渉を加速してランディングゾーンを探さなければならないタイミング。韓米製造業協力案を具体化していき両国に利益となる結果導出に向け全力を尽くすだろう」と話した。呂本部長をはじめとする韓国交渉代表団は当分ワシントンDCにとどまり詰めの交渉に総力を挙げる予定だ。呂本部長は9日にもラトニック長官と追加で協議を続けることにした。
2025/07/09 09:28
https://japanese.joins.com/JArticle/336024