トランプ発の関税が世界の貿易秩序を揺るがしている。中国の5月の対米輸出は過去30年で最大の減少幅を記録したが、米国の空白をASEANや欧州諸国が埋め、全体の輸出はかえって増加した。高率の相互関税を通告された他のアジア諸国も、トランプ政権との交渉を進めつつ、サプライチェーンの再編と代替市場の確保に拍車をかけている。
15日、中央日報が韓国貿易協会と共同で中国の税関総署の輸出入統計を分析した結果、中国の5月の対米輸出は前年同月比34.5%急減の288億ドルにとどまった。関連統計が確認可能な1998年以降、5月としては最大の減少率だ。世界金融危機直後の2009年5月(-21.3%)よりも大きな減少であり、今年1月にドナルド・トランプ米大統領が就任して以来、中国を狙い撃ちにした関税政策の攻撃を受けたとみられる。米中両国は5月にジュネーブ合意を通じて超高率関税(145%)を大幅に引き下げたが、依然として30%の追加関税が課されている。
関税にもかかわらず、中国の5月の全体輸出は逆に4.5%増の3160億ドルとなった。対米貿易で減少した輸出を、アジア・欧州などの代替市場向け輸出が上回った結果だ。実際に、中国の5月のASEAN10カ国向け輸出は14.8%増の584億ドル、欧州連合(EU)27カ国向け輸出は12%増の495億ドルとなった。このほか、日本(6.2%)、インド(12.5%)、イギリス(15.6%)、オーストラリア(12.6%)など主要国でも高い増加率が続いている。
主要品目別に見ると、格差はさらに著しい。電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池の米国向け輸出額は前年比22.8%減少したが、EU(52.2%)およびASEAN(11.9%)での増加により減少分を相殺した。中国製自動車の輸出も、米国(-66.9%)とEU(43.6%)、ASEAN(89.2%)で明暗が分かれた。
米国依存を低減する代替市場の確保は中国だけの問題ではない。トランプ政権が同盟国を問わず世界中に高率の相互関税を通告しているためだ。現在、トランプ政権は韓国と日本に25%、フィリピンに20%、インドネシアに32%、タイに36%の相互関税を課すと通告しており、発効は8月1日を予定している。
これを受け、各国は、貿易交渉を通じて関税率を可能な限り引き下げるために取り組む一方、代替市場の確保にも乗り出している。今月9日のASEAN外相会合で、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が「外部の圧力に対抗するために、我々同士でより多く貿易・投資を行うべきだ」と発言したことがその代表例だ。インドはブラジルとの二国間貿易を70%拡大することで合意し、インドネシアはEUとの自由貿易協定(FTA)交渉に拍車をかけている。
韓国も例外ではない。李在明(イ・ジェミョン)政権は米国との関税交渉に積極的に取り組むとともに、インド・オーストラリア・ドイツ・フランス・イギリスにも特使を派遣し、貿易問題などを協議する計画だ。韓国の6月輸出は4.3%増加したが、下半期に相互関税と半導体など情報技術(IT)製品に対する関税が現実化すれば、苦戦は避けられない見通しだ。
崇実(スンシル)大学グローバル通商学科のク・キボ教授は「今年後半に米中貿易摩擦が拡大すれば、対米・対中輸出の両方が大幅に減少する可能性がある」とし、「欧州、東南アジア、インドなどの代替市場への輸出を拡大する必要があり、特に企業投資も米国に集中せず、他地域に分散させるなど長期的な備えが必要だ」と指摘した。
2025/07/16 06:56
https://japanese.joins.com/JArticle/336301