「韓国、企業文化が多様」、「日本では複雑なスペックがなくても就職できる」(2)

投稿者: | 2025年7月17日

(1から続く)

 韓国で働く日本人が増えているとはいえ、まだ少数の話だが、日本で働く韓国人は年間7万人水準にまで拡大したほどかなりの規模だ。

 「以前は日本企業の方が給料が高いと言われていましたが、今はほぼ同じ水準かもしれません。その代わり、韓国のように複雑なスペックがなくても就職できるし、社内福祉も韓国より良いと思います」

 日本の金融会社で海外子会社の管理などを担当するチョン・ジウンさん(36)は、日本で働くメリットをこのように説明した。チョンさんは「韓国に帰りたいと思う時もあるが、スペック競争のことを考えると、なかなか勇気が出ない」とし、「日本での生活にあまり不満はない」と語った。 韓国で高校卒業後、留学を経て就職したチョンさんは、1990年代初めに日本に渡ってきた在日韓国人ニューカマー1世代が経験した外国人に対する差別も、今はほとんど見当たらないと語った。「就職過程や会社の業務で、外国人だからといって別扱いされたと感じたことはありません。外国人社員も年々少しずつ増えています。ただし、一部の政党が『物価高騰対策給付金の支給』と関連し、日本人と外国人を切り離すことで支持率を上げたり、ヘイト(嫌悪)を拡散させる政治に居心地の悪さを感じることはありました」

 工場自動化設備会社で働くカン・ナルさん(29)は、国費留学生として日本に来て定着したケースだ。昨年、日本で就職に成功したカンさんは、日本の職場の体系的な熟練システムをメリットに挙げた。カンさんは「日本で大学を卒業したが、専門と違う分野に就職したうえに、ビジネス日本語についていくのが多少難しかったが。『3年間は仕事を学ぶ期間』という雰囲気があって良かった」と語った。また、相対的に初任給が低いが、安定的な雇用環境の中で経歴が上がるほど給与上昇幅が大きい日本式の賃金体系と会社福祉も強みだと語った。カンさんは「大卒者基準初任給が22万円、修士は2万円が追加されるが、長く勤まるほど賃金上昇幅が大きく、高いことで有名な東京で家賃や交通費を補助する場合もある」とし、「文化的にも韓国にいる時も比べて大きな不便はなく、雇用が安定したという点も魅力的」だと話した。Sさん(47)は、韓国人情報通信(IT)技術人材が日本に進出した2006年、韓国貿易協会の教育センターを経て、東京に定着した。Sさんは「米国も選択肢の一つだったが、韓国と物理的な距離もあり、大学時代に日本語を学んだ経験もあって、日本を選んだ」とし、「業務過程で年齢や上下関係、国籍などをとらわれず、実力を発揮すれば、仕事で困ることはあまりない」と語った。就職初期には韓国の1.5倍水準の給与が気に入ったが、日本に定着した後は仕事と生活のバランスがよく整えられたのが良いと考えるようになった。Sさんは「退職まで比較的雇用が安定しており、年金制度をはじめとする社会保障がよく整えられている」とし、「子育てにも安全で良い環境」だと付け加えた。

 厚生労働省の「外国人雇用現況」(ワーキングホリデー含む)資料によると、2015年に日本で仕事をする韓国人は4万1千人余りだったが、10年ぶりの昨年7万5千人に増えた。特に昨年基準で技術・専門職が3万2千人(43.4%)で高い割合を占めていることが目を引く。

 韓日の国民所得水準が同じになり、両国の賃金格差はほとんど消えた。韓国経営者総協会が昨年出した「韓日賃金現況推移」によると、2002年韓国企業の平均賃金は179万8千ウォン(約18万円)だった一方、当時日本は38万5400円だった。しかし、2022年には韓国が399万8千ウォン(約40万円)、日本は364万5千ウォン(約37万円)でこの数値が逆転した。また、経総は今年1月の報告書で、2023年基準で両国10人以上の事業体の常用職の平均大卒初任給(年俸)は、韓国が2万7823ドル(約414万円)、日本は2万3466ドル(約349万円)だったと明らかにした。

 給与の魅力が減った状況でも、韓国人の日本への就職が増え続けている背景には、日本では比較的求人が多いことや、日本の経済規模が韓国より依然として2倍以上大きいことなどがある。日本で求職者1人が求めることができる働き口を示す指標である有効求人倍率は、5月基準で1.24を記録した。似たような指標である韓国の求人倍数は2023年の年間基準で0.61に過ぎない。韓国より先に少子化・超高齢社会を経験している日本は人手不足に苦しんでいる。日本の外国人労働者の中で専門人材の比率は26.3%で、韓国(6.0%)と単純比較してもかなり高い方だ。特に、情報技術分野の人手不足が深刻で、この分野で日本に就職する韓国人も多い。

 ただし、日本も給与が高く福祉が良い主要大企業の場合、就職するのが難しく、韓国人を含む外国人の就職が容易だとは言い難い。ニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)上席研究員はハンギョレに「安定した生活計画が可能だというメリットなどで日本で就職することを好む韓国の若者が増えているようだ」とし、「韓日間の政治的問題が悪影響を及ぼさない限り、このような流れが続くものとみられる」と見通した。

2025/07/16 08:45
https://japan.hani.co.kr/arti/international/53751.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)