レアアース戦争に巻き込まれた韓国の中小企業「政府の貸与分は、急場をしのぐ程度」

投稿者: | 2025年7月18日

◇中国のレアアース統制の余波

米国と貿易紛争中の中国によるレアアース(希土類)輸出統制の影響で、韓国の中小・中堅企業が“流れ弾”を受けている。米中は合意には達したものの、実際の輸出許可にはすぐにつながっていないためだ。

 17日、韓国鉱害鉱業公団(以下、公団)および産業通商資源部などによると、中国のレアアース輸出統制が始まった今年4月から今月初めまでに、レアアースの一つである「ジスプロシウム(Dy)」の貸与を公団に問い合わせた企業は計5社にのぼる。いずれも中小・中堅企業で、環境対応車用の駆動モーターやコンデンサーなどを主に製造する会社だ。公団は、このうち事前に申請した2社にはジスプロシウムを貸与し、残りの企業については審査手続きを進めている。公団が備蓄鉱物の貸与事業を始めた2017年以降、ジスプロシウムの貸与要請は今回が初めてだ。

レアアースは、スピーカーやマイク、エアコンといった消費者用家電から、電気自動車、ロボットといった先端技術製品にまで広く使われている。レアアースから作られる部品の一つ「ネオジム永久磁石」は、現存する磁石の中で最も磁力が強いが、高温では磁力が落ちるという欠点がある。これを補うために、重希土類に分類されるジスプロシウムを添加して磁力を維持するのだが、特に高温に耐える必要がある電気自動車用の駆動モーターには8~12%のジスプロシウムが必要だ。韓国貿易協会の報告書によると、中国は世界のネオジム永久磁石市場の92%を占めており、ジスプロシウムなどの重希土類はすべて中国でしか生産されていない。中国は今年4月から、ジスプロシウムを含む7種のレアアースおよびその加工品の輸出に許可手続きを追加し、事実上輸出を統制している。

公団からジスプロシウムを貸与を受けたA社の関係者は、「5月から中国に輸出許可を申請しているが、いまだに返答がない」と語った。この企業は先週になってようやく、極めて少量の永久モーターを中国から輸入できたという。この関係者は「ジスプロシウムは必要な分だけ毎週輸入していたが、公団の貸与分を使い切れば、他に代案がない」として焦りを見せた。

別の貸与企業B社の関係者は、「公団からの貸与分でひとまず急場はしのいだが、それも一時的なことに過ぎない」と述べ、「ただ待つしかなく、歯がゆい」と語った。公団の備蓄鉱物貸与期間は基本90日で、延長すれば最大270日まで可能だ。

問題は、中小・中堅企業ほどサプライチェーン危機に対応する能力が乏しく、被害をもろに受けざるを得ないという点にある。ジスプロシウムは恒温・恒湿が保たれた特殊な倉庫で保管しなければならないが、企業規模が小さいほどこうした設備を備えるのが難しく、備蓄しておくことができないため、対応が難しい。A社の関係者は「比較的規模の大きな2次電池メーカーですら、原材料を備蓄していたが評価損を次々に出していたではないか」とし「規模の小さい我々には原材料を潤沢に輸入しておくことが難しい」と話した。韓国貿易協会が今年3月、50万ドル(約7426万円)以上の輸出実績を持つ(2024年基準)製造企業740社を対象に調査した結果、企業の73.0%が「中国の輸出統制により供給網に被害または影響がある、あるいはその見込みがある」と回答した。

大企業は状況がいくらか良好な方だ。電気自動車用の駆動モーターを生産する現代モービスは、2010年に中国と日本の尖閣諸島領有権問題によって中国がレアアースの輸出を統制したことを受け、主要部品である永久磁石の輸入先を多角化した。今回も、韓中日の複数の企業から永久磁石の供給を受けるなどして、在庫を確保している。現代モービスの中国の協力会社は、今年5月に中国商務部からレアアースの輸出許可を受け、その後も案件ごとに引き続き許可を受けているという。

2025/07/18 07:07
https://japanese.joins.com/JArticle/336422

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