米国市場で韓国と競争関係にある日本が、米国との関税交渉を電撃妥結させた。日本は5500億ドル(現在のレートで約81兆円。以下同じ)を米国に投資し、コメと自動車市場を開放するという条件で、25%だった相互関税を15%に抑え、自動車関税も27.5%(基本関税2.5%+トランプ関税25%)から15%(基本関税2.5%+トランプ関税12.5%)に引き下げることで合意した。米国のトランプ大統領は満足感を示し、日本もトヨタ自動車の株価が14%ほど急騰して日経平均が3.5%上がるなど、「よく守った」という雰囲気だ。
日本はこれまでの米国との交渉で、核心である自動車関税を下げることに総力を挙げた。日本は昨年684億ドル(約10兆円)の対米貿易黒字を出し、米国が貿易赤字を記録した国の中では7位だったが、対米黒字の80%が自動車と自動車部品だった。自動車関税率を下げるために、対米投資ファンドの規模を当初米国が要求していた4000億ドル(約59兆円)から1500億ドル(約22兆円)増やし、デリケートな問題だったコメ市場も一部開放することにしたのだ。
次は韓国だが、現時点では心配な点が多い。日本は、石破首相が今年6月にトランプ大統領と首脳会談を行い、交渉代表の閣僚が8回も訪米して交渉を繰り広げた。一方、韓米間では首脳会談がなく、交渉も次官級の通商交渉本部長が担当してきた。交渉の温度が、日本とは差があるのだ。
韓国にとっても最大の問題は自動車だ。昨年の対米貿易黒字660億ドル(約9兆6700億円)のうち、60%が自動車由来だった。自動車関税を日本と同水準の15%に下げることができない場合、大きな打撃が予想される。現代自・起亜は日本車と同価格帯で、直接的な競争関係にあるからだ。また、USスチール買収で一息ついた日本とは違い、韓国の鉄鋼各社は米国内に生産基盤がない。業界からは「関税交渉がうまくいかなければ、最大の輸出市場である米国を手放すほかない」との声が出ている。
通商の専門家らは「コメ・牛肉などデリケートな品目の追加開放でトランプ大統領が自慢できるだけの名分を提供すべき」と指摘する。日本のコメ市場開放がヒントになるかもしれない。韓国も日本と同じく、毎年無関税で40万トンのコメを義務的に輸入している。国際協定上の義務だ。日本は、この枠内で米国産米の輸入比率を増やしたのだが、韓国もそうすればいい。韓国政府は「コメと牛肉の市場開放を米国との交渉カードとして使わない」とする内部方針を定めたというが、はるかに大きな国益のために、柔軟な戦略を取るべきだ。
2025/07/24 11:00
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