日本が米国と貿易交渉を妥結した中、約束した5500億ドル(約81兆円)規模のファンドをめぐり甲論乙駁が生じている。天文学的な規模の資金をどう調達するのかという点から具体的な運営方式まで確実なものが一つもないからだ。このためファンドの実現の可能性に対する疑問が深まっている。
ブルームバーグ通信は24日(現地時間)、「米日貿易協定の最後のパズルは5500億ドルにのぼるファンド」とし「ファンド運用方式をめぐる不確実性が貿易協定の実現の可能性に対する疑問を増幅させる」と報じた。
日本は23日、農産物市場の開放、アラスカ液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの投資参加のほか、5500億ドルのファンド設立を約束することで米国との交渉を終えた。日本側代表の赤沢亮正経済再生相は日本国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)など公的資金の投入と民間企業の参加を通じて5500億ドルを調達すると説明した。5500億ドルは昨年の日本の国内総生産(GDP)の約14%にのぼる。JBICなどの投資では難しいという指摘が出ている。JBICの昨年の北米投資金額は18億ドルにすぎなかった。ニューヨークタイムズ(NYT)は「投資が実現するか、資金をどこに投入するかに対する相当な疑問が提起される」と指摘した。
すでに発表された日本企業の投資金をファンドに含めるかどうかも確実でない。ソフトバンクは昨年、米国の人工知能(AI)プロジェクトに対して1000億ドルを投資すると発表した。日本製鉄も先月USスチールを141億ドルで買収したのに続き、2028年までに110億ドルを投資すると明らかにした状況だ。これと関連しベッセント米財務長官は「直接投資約束はすべて新規の資本」と主張した。
収益分配方式も説明が明確でない。ラトニック商務長官はブルームバーグTVに「日本は資金を支援し、これを運営者に提供し、収益の90%は米国納税者に分配されるだろう」と述べた。半面、日本側は出資する場合の利益配分に関し「相互負担する貢献度と危険度に基づいて1対9とする」と明らかにした。貸出でなく出資分に限り、それも「貢献度と危険度に基づく」ということだ。一般的に株式会社の場合、出資比率が基本的な貢献度と危険度の基準となる。今後、論争が予想される部分だ。
このように天文学的な規模のファンドをめぐる推測が乱舞することになった理由は、精巧な議論なく即興的に交渉が進行されたからだ。これに先立ちホワイトハウスのスカビーノ副首席補佐官が公開した写真を見ると、トランプ大統領のテーブルに置かれたパネルに書かれていた数字「4」には線が引かれ、代わりに「5」が書かれていた。また、パネルには「利益共有50%」という文字もあったが、これがまた交渉過程で米国配当90%に変わった。これについて赤沢経済再生相は「合意をどう実施していくのか、その実施の確保の仕方みたいな議論はした記憶がない」と記者に告白した。
米メルカタスセンターのルジー上級研究員は「日本が米国に5500億ドルを投資して米国人が収益の90%を受けるというあいまいな約束は、真摯な貿易交渉の結果というより選挙の遊説で出てくるような主張」と指摘した。
2025/07/26 11:25
https://japanese.joins.com/JArticle/336766