–韓国の対中国貿易収支が昨年初めてマイナスとなった。両国経済構造が相互補完から競争構図に変わったのでは。
「統計を見ると、これは客観的な事実だ。伝統的に韓中修交以降、両国の貿易は一般的に韓国が黒字を出すパターンだった。貿易構造の面で中国が韓国から大量の装備と高付加価値の中間財を輸入するのが特徴だった。技術発展レベルの差のためだった。過去10-15年の間、両国の技術と競争力の格差が縮まり、韓国から輸入する中間財が減少した。これが貿易収支逆転の根本的な原因だ。もう一つの理由は中国内の韓国企業が東南アジアに移転したことだ。グローバル産業チェーンの労働分業モデルが崩壊している。この傾向は短期的には変わりにくい。中国独自の産業競争力が向上し、同時に韓国の産業移転傾向も続いている」
–韓国の対中国貿易赤字は今後も続くということか。
「中国と韓国の間のこのような貿易構造が元の状態に戻る可能性は低い。したがって中国と韓国は新しい協力分野を開拓しなければいけない。過去2、3年間、特に中国共産党第20回全国代表大会以降、中国は新しい対外開放を進めてきた。韓国は製造業以外にもいくつかの面で非常に強い。伝統的な協力に依存する必要はない。例えば観光で中国人観光客の韓国旅行需要がかなり多いため、今後、観光産業の発展が進めば韓中貿易の不均衡改善に役立つだろう。これは一つの事例にすぎない。両国のシンクタンクが共同研究を通じて両国が協力する新しい分野を見つけなければいけない」
–中国は今年に入って欧州5カ国、東南アジアなどにノービザ政策を施行している。韓国に適用される可能性もあるのか。
「昨年、中国が一部の国にビザ免除を施行した後、駐中韓国商会など韓国と日本が似た問題を提起してきた。駐中韓国商会は中国のノービザ政策が韓国と日本にも適用されることを希望している。もちろんこれは中国外務省、政府の決定事項だ。学者の立場で見ると、今後、中国と韓国の政府・企業・学界・観光交流が正常軌道に乗り、特に中韓日3カ国首脳会談が行われば、韓国はもちろん日本に対するビザ免除も期待できると考える。中国と韓国、中国と日本の間の人的往来規模は非常に大きいからだ。3カ国間のビジネスおよび学術交流、観光発展を促進するためにビザ免除は一つの傾向になるだろう」
–11月の米大統領選挙の結果は米中関係にどんな影響を及ぼすだろうか。
「過去のある時期から、民主党も共和党も共に中国を敵対視し、抑止する政策を見せてきた。トランプ政権の全面的なデカップリング(脱同調化)、バイデン政権の選択的デカップリングおよびデリスキング(危険除去)まで、こうした傾向を反映する。中米関係の改善は一人の指導者の当選では期待できない。変化のためには社会各層、特に大衆の認識の変化が必要だ。トランプ氏の当選が中米関係に及ぼす影響に注目するが、中国は中長期的な両国関係の改善により多くの関心を向けるだろう」
–北朝鮮の核は韓中関係のマイナス要素だ。中国は韓中関係と朝中関係をどう両立させるのか。
「北朝鮮の核問題を解決・緩和するにはまず南北の和解が必要だ。南北は問題の当事者であり、直接関連する当事国だ。朝鮮半島の双方の和解がなければ、他国の介入や促進は実質的な役割ができない。次に必要なのは地域内の強大国間の積極的な動きだ。中国・日本・ロシアが朝鮮半島の非核化のために努力しなければいけない。問題解決のための外的条件を提供しなければいけない。最後に地域外の大国(米国)が問題で欠かせない役割、すなわち停戦協議をしなければいけない。中国は朝鮮半島問題で南北双方と協力を強化し、平和を促進する方法を探している。韓国との協力、北朝鮮との協力は両極端の関係ではない」
2024/05/14 11:57
https://japanese.joins.com/JArticle/318621