米日の関税「口約束」に対する懸念が現実のものとなっている。合意文書のない関税交渉の結果をめぐり両国の見解にずれがあるなか、米国が6日(現地時間)に公開した連邦官報が、日本政府がこれまで説明してきた相互関税の内容と大きく食い違っていたためだ。日本は即座に米国に赴き、「合意の履行」を求めたが、日本の各メディアは相互関税が発動する7日(現地時間)午前1時までに是正されるかは不透明だと伝えている。
7日、時事通信によると、赤沢亮正経済再生担当相は6日、ハワード・ラトニック商務長官と90分にわたって会談を行った。この席で赤沢氏は、自動車および部品に対して15%に引き下げるとされた関税の適用を早期に実施するよう求めた。自動車産業が日本経済に与える影響が大きいことから、不透明な「施行時期」を前倒ししようという考えだ。
相互関税についても「合意の履行」を要求した。日本は7月、関税交渉の合意を発表する際、「既存の関税が15%未満の輸出品は一律で15%となり、関税が15%を超える品目は『特例』として従来の税率が適用される」と説明していた。しかし、トランプ大統領が7月31日に署名した大統領令および米政府が公開した連邦官報の補足文書には、日本の説明とは異なる内容が記載されていた。官報によると、米国は「特例」措置を適用した欧州連合(EU)を除き、日本には相互関税15%を追加したと記されていた。
このままでは日本には例外なく相互関税15%が「追加」されることになり、日本経済への打撃は避けられない。例えば、米国に輸出される織物の税率は現在7.5%だが、官報の内容通りであれば、ここに15%が上乗せされて22.5%となる。日本産牛肉(26.4%)にかかる関税も41.4%に跳ね上がる。読売新聞は「日本は、2024年度に約22兆円に上った対米輸出の大半の品目に相互関税がかかるとみられる」とし「建設機械から食品まで影響が及ぶ範囲は広い」と懸念を示した。
事態の沈静化を図る赤沢氏は、ラトニック氏との協議後、「相互関税の合意内容を再確認した」と述べた。しかし、日本の合意履行の要求に対してラトニック氏がどのような回答をしたのかについては言及を避けた。日本政府関係者は読売新聞に対し、「何のための交渉だったんだとなってしまう」とし「しっかり詰めて(米国に)約束を守らせないとだめだ」と強調した。赤沢氏は引き続き米国に滞在し、関税交渉の責任者であるスコット・ベッセント財務長官との会談を模索するとされるが、日本政府は戸惑いを隠しきれない様子だ。
相互関税だけでなく、5500億ドル(約81兆円)に上る対米投資資金も日本にとっては頭の痛い問題だ。トランプ氏が「我々の思い通り投資に使える金」と述べたためだ。彼は「日本が米国の指示に従い、米国の基幹産業の再建と拡大のために資金を投じることになる」と明言したが、日本側は別の解釈を示している。毎日新聞は、この投資資金が「財政投融資」(財投)と呼ばれる政府系金融機関による金融支援だと伝えた。日本企業が進める米国での事業に対して、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)が行う出資や融資、融資保証などの「利用限度額」だという。これは、トランプ氏と親しかった安倍晋三政府が用いていた方式だという説明も付け加えられた。毎日新聞は「ホワイトハウスの発表文によると、5500億ドルの投資先は『トランプ氏の指示』に基づいて決まると明記されている」とし「文字通りに読めば、国家安全保障強化などの観点で米国に必要だが、採算割れが見込まれ、普通の民間企業が尻込みするような高リスクの事業への出融資を求られる恐れがある」と分析した。
一方、この日林芳正官房長官は会見で「訪米中の赤沢大臣からも米側に対し、相互関税の合意内容を改めて確認した」とし「その内容を実施するための措置を直ちに取るよう求めた」と明らかにした。
2025/08/07 14:46
https://japanese.joins.com/JArticle/337319