「中国が世界貿易機関(WTO)に加入すれば民主主義の最も大切な価値である『経済的自由』を受け入れるだろう」。
2000年3月、当時のビル・クリントン米大統領はジョンズ・ホプキンス大国際関係大学院で演説し、このように述べた。中国が自由化するほど米国経済に似ていくはずで、結局は民主化が進むという考えだった。こうした期待の中で、米国は中国が翌年WTOに加盟することを積極的に支援した。
25年が経過した現在、クリントン氏をはじめとする米国のオピニオンリーダーの通念は180度覆った。中国が米国に似ていくという見方は彼らだけの「希望回路」にすぎず、実際には米国資本主義が中国に近づいていると、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が1日(現地時間)報じた。自由な企業活動を保障するよりも国家が企業の運営に積極的に介入する中国式「国家資本主義」傾向が強まっているということだが、トランプ政権2期目に加速しているというのがWSJの分析だ。
WSJが挙げた「トランプ式国家資本主義」事例は多様だ。中国関連疑惑を理由にインテルのリップブー・タン最高経営責任者(CEO)の辞任を要求したのをはじめ、エヌビディアとAMDが中国に販売した半導体販売収益の15%を米国政府に出すことにした点などだ。USスチールの買収を許容しながら日本製鉄から「黄金株」(主要経営事案に拒否権行使可能な株式)を確保した点、相互関税で世界各国を脅して1兆5000億ドル(約220兆円)規模の投資約束を受けた点も挙げられた。
トランプ大統領が見せた行為は米国が具現してきた自由市場精神と大きな隔たりがあるというのがWSJの評価だ。国家が民間企業の決定を主導するという側面で、社会主義と資本主義を混合した国家資本主義に近い。こうした体制を最も積極的に具現しているのが中国だ。中国は市場経済体制を加えた自らの混合型社会主義を「中国特色社会主義」と定義してきた。中国の習近平国家主席の執権以降は「習近平新時代中国特色社会主義」に発展させ、西側市場経済体制の代案として前面に出している。
WSJは中国の事例に例えてトランプ政権の経済政策を「米国特色国家資本主義」と定義した。トランプ大統領がいわゆる「エプスタイン疑惑」を報道したWSJと所有主ルパート・マードック氏を相手に100億ドルの名誉毀損訴訟を起こした点も、2020年に中国の金融を質屋営業に例えた馬雲アリババグループ創業者とアリババグループに大々的な取り締まりをした習近平主席と似ていた。気に入らない企業に激しく報復するという点でだ。
トランプ大統領の「ベンチマーキング」には高度成長する中国に対する恐れがある。中国が共産党主導で「光速建設中の巨大工学国家」なら、米国は三権分立と法治主義などいわゆる「民主主義の非効率に足を取られた国家」というのがトランプ大統領の認識だ。法律家中心の複雑な手続きが足かせとなったうえ、自由市場主義が米国製造業の海外移転を増やして産業基盤を弱め、中国に追い上げられたということだ。
これを防ぐには中国と同じ方式に米国国家体制を変えるべきというのが、トランプ大統領の考えだ。WSJは「米国でも第2次世界大戦当時の『防衛生産法』、世界金融危機当時の企業救済金融など企業に対する国家の介入はあったが、すべて一時的なものだった」とし「トランプ大統領はこれを体系的・永続的に具現しようとする」と評価した。
ただ、国家資本主義には歪曲、浪費、特恵など副作用も多い。これによって市場資源分配などで非効率をもたらす確率が高い。中国の鉄鋼・自動車分野の過剰生産問題が代表的な例だ。WSJは「習主席の統制強化で鉄鋼と自動車が超過生産され、価格と企業利益が暴落して中国の成長が鈍化した」とし「米国には中国と違って独立的な司法府、言論の自由などが生きているだけに、これを通じた牽制と均衡がうまくいくかによってトランプ大統領の国家資本主義の試みが成功するかどうかが決まるだろう」という見方を示した。
2025/08/13 10:59
https://japanese.joins.com/JArticle/337530