米国との関税交渉が大枠の合意を成し遂げた後、実務交渉で進展を見られておらず、韓国製自動車に適用される品目関税引き下げ(25%→15%)の日程が不透明になっている。一方、米国市場をめぐり韓国と競争する日本は4日、ドナルド・トランプ大統領が自動車品目の関税を15%に調整する行政命令に署名した。この行政命令は遅くとも16日までに発効される予定で、日本の自動車業界が一歩先を行く契機になる見通しだ。
現在、米国との関税交渉は対米投資を具体化する案をめぐり綱引きが続いている様相だ。これに先立ち、韓国は7月30日、3500億ドル規模の対米投資を約束し、現行の25%である自動車品目の関税を15%に引き下げることにした。しかし、投資ファンドの運用をめぐり、両国間の隔たりが目立っている。キム・ヨンボム大統領室政策室長は9日、韓国放送記者クラブの招請討論会で、「韓国が1年に調達できる金額は200~300億ドル以上は難しい」とし、「3500億ドルは韓国経済全体にあまりにも大きな衝撃を与えるため、自動車産業の関税差を縮めるために(関税交渉を)急ぐことはできない」と述べた。
交渉妥結に安堵していた自動車業界は当惑している。現代自動車・起亜は今年第2四半期の米国関税だけで営業利益が1兆6142億ウォン(現代自動車8282億ウォン、起亜自動車7860億ウォン)減少したと分析した。25%の関税賦課が長くなるほど、企業の収益性における負担が大きくなるわけだ。実際、現代自動車・起亜は今年第2四半期にハイブリッド車(HEV)の販売増加と金融部門の実績改善、為替レート効果などに支えられ、総売上高48兆2867億ウォン(約5兆1200億円)で過去最大を記録したにもかかわらず、昨年に比べて営業利益(3兆6016億ウォン)が15.8%減少した。
これに対し関税費用を一部消費者に転嫁する選択肢も検討されているものとみられる。 自動車業界の関係者は「韓米関税交渉が行われた7月末までは価格引き上げは絶対にないという雰囲気だったが、日本に遅れを取ることになり、雰囲気が変わっている」とし、「下半期に価格を上げないとは断言できない状況」だと語った。現代自動車・起亜は上半期の関税引き上げにも国内外の協力会社から納品単価を維持しながら下半期の単価引き上げを口頭で約束したが、このような状況も価格引き上げの圧力として働く見通しだ。
しかし、値上げも容易ではない選択だ。米国現地市場で最も競争の激しい現代アバンテ(現地名エラントラ)とトヨタのカローラは現在、それぞれ2万2125ドル(約326万円)と2万2325ドル(329万円)で価格が策定され、現代アバンテが200ドル安い。しかし、これらの車に25%と15%の国別品目関税をそのまま反映すれば、アバンテが2万7656ドル(約407万円)でカローラ(2万5674ドル)より2000ドルほど高くなる。
現代自動車は米国現地で生産量を増やし、多様なモデルの新車を発売して高率関税危機を突破する計画を立てたが、ジョージア州の現代自動車・LGエネルギーソリューション合弁工場建設現場で、労働者が拘禁され、これにも支障が生じた。先立って現代自動車は「現代自動車グループ・メタプラントアメリカ」(HMGMA)で生産量を30万台から50万台まで増やす計画を明らかにしたが、ライン増設のための労働者派遣が難しくなり、該当工場にバッテリーを供給する予定だった合弁工場建設が事実上止まったためだ。
韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は「25%の自動車関税が続けば、企業がいくら経営合理化でコストを下げ、現地価格を調整しても、長期的には輸出が萎縮する衝撃を避けられないだろう」と見通した。
2025/09/10 20:22
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/54198.html