石を使い貝を割るラッコの食べ方には理由があった

投稿者: | 2024年5月18日

 ラッコは海洋哺乳類の中で唯一石を道具に使う動物として有名だ。石を使って海の底のアワビを掘り出し、海岸の岩をアンビル(台)にして貝を叩き割った後、中身を取り出して食べる。胸の上に自分だけの石を持ち歩きながら、餌の固い皮を砕いたりする。最近ラッコのこのような道具の使用が歯の損傷を減らして生存力を高め、多様な餌を摂取するのに役立つという研究が出た。

 米国テキサス大学オースティンキャンパスは16日(現地時間)、報道資料を通じて「カリフォルニア大学サンタクルーズキャンパス、モントレーベイ水族館と共にカリフォルニア中部海岸に住む『カリフォルニアラッコ』196匹を観察・研究した結果、ラッコが道具を使った場合、歯の損傷が減ることを初めて確認した」と明らかにした。研究陣は「特に体が(オスに比べて)小さくて噛む力の弱いメスのラッコの場合、道具を使う時により大きく多様な餌を摂取し、生存力を高めた」と付け加えた。今回の研究は、科学ジャーナル「サイエンス」の最新号に掲載された。

 ラッコは日本北東側とロシアのクリル列島(千鳥列島)などに住む「ユーラシアラッコ」と太平洋東部に住む「アジアラッコ」、カリフォルニア中南部に生息する「カリフォルニアラッコ」などに分けられる。ラッコは過去数十万匹が北海道、アラスカ、北アメリカの海辺に広く生息していたが、18世紀半ばに大々的な毛皮狩りで個体数が急激に減り、絶滅危機種になった。カリフォルニアラッコの場合、米国魚類および野生動物管理局が1970年代から種の保全に乗り出し、徐々に個体数が増加し、現在カリフォルニア沿岸に約3000匹が生息している。

 カリフォルニア沿岸ではカリフォルニアラッコの餌になる大きなアワビやウニを現在は難なく手に入れることができるが、このような餌資源は人の漁業活動、開発などで減少したり消えたりする傾向にある。このため、カリフォルニアラッコは好物のアワビやウニ以外に、貝、ムール貝または小さなカタツムリを以前より多く食べるようになった。このような餌はアワビとウニより皮が硬くてラッコの歯を損傷させる可能性が高い。歯がすり減ったりかけたりするとラッコが飢え死にする可能性があるため、歯をきちんと維持することはラッコの生存に非常に重要だというのが研究陣の説明だ。

 研究陣はラッコの餌の変化と道具の使用、歯の健康などを確認するために、カリフォルニア海岸に生息するラッコ196匹に無線認識票を付着して行動を観察した。その結果、ラッコが餌の皮を取り除くのに使う道具は石だけでなく貝殻、人が捨てたゴミなど多様だった。このように道具を使うラッコは道具を使わないラッコよりもっと硬いか大きな餌を手に入れることができたが、特にメスのラッコはオスより道具を使う可能性が高かった。道具を使ったメスは、道具を使わないオスより最大35%も硬い餌を摂取することができた。

 テキサス大学のクリス・ロー博士研究員は「メスのラッコはオスより体が小さく噛む力は弱いが、これを克服するために道具をより頻繁に使用したものとみられる」とし、「また、子どもを育てるためにはより多くのエネルギーが必要なので、メスの餌確保はより効率的でなければならなかっただろう」と説明した。研究陣はイルカ、チンパンジー、ボノボのメスもやはりオスより道具を多く使うと知られているが、ラッコと似た理由だろうと予想した。

2024/05/17 16:05
https://japan.hani.co.kr/arti/culture/50049.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)