「心が狭い姿」「度量のない国」「墜落する国」…。
文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は17日に公開された回顧録のうち対日外交を取り上げた12章「二度と負けません」でこうした表現により強制徴用関連問題に対する日本の態度を批判した。
特に日本の輸出規制措置(2019年7月)に対応し1カ月ほど後に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決めた当時、「世論調査の結果われわれの判断が正しいという確実な後押しを得ることになった」と明らかにした。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の指示で韓国政府がGSOMIA終了と維持を問う世論調査を実施した結果、「終了」を求める回答が圧倒的だったとしながらだ。
文前大統領は「世論調査の結果を見て判断をしたものではなく、当然の論理的帰結だった」としながらも「韓日関係だけでなく韓米日3カ国の間で非常に敏感な問題だったため国民の世論まで聞いて最終判断をしようと思った」とその背景を説明した。だがこれは重要な外交安保政策を世論調査に依存して決めたという意味に解釈される恐れがある。当時GSOMIA終了決定に米国が大きな失望を示し、韓国政府が国内政治的脈絡で対応して同盟に否定的影響を及ぼしたという批判も提起された。
文前大統領は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が韓日関係改善に向け強制徴用問題の解決策として出した「第三者代位弁済案」も批判的に見た。「日本が要求した唯一の解決策は韓国が責任を負えということだった。尹錫悦政権はそれを受け入れた。しかしそれは屈服であるだけ」とした。
しかしこれは「第三者代位弁済案は当初の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長ら与党だった民主党から出た案だった」という現与党陣営の反論につながる恐れがある。昨年3月に「国民の力」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長(当時)は「第三者代位弁済のアイデアはわれわれのアイデアではなくて民主党のアイデアだ。それが最後の解決策という認識でわれわれが決断を下したもの」と主張した。
文前大統領は「当時日本の経済界などが韓日の企業が参加する共同基金案をアイデア(解決策)として出し、韓国政府は『被告企業が参加したり別途の謝罪意志表示をするならば被害者である原告を説得してみることができる』と判断した。ところが日本政府は実務者レベルでは肯定的な議論と意見の接近を見せながらも結局首相レベルに上がると不動の姿勢で頑強に拒否するという報告を受けた」とした。
これと関連し米国の関与にも言及された。バイデン政権発足後に米国が強制徴用問題を韓米日安保協力を損ねる事案と判断し「米国の共同基金参加」などを通じて問題解決に出ようとしたということだ。文前大統領は「その解決方法を提案したキャンベル調整官に尋ねたところ、まだ日本と協議はできていなかったが、韓国さえOKすれば日本はすぐ説得できないだろうかとした。ところが日本はその提案も断った」と話した。
文前大統領は日本の輸出規制を事前に把握し、「初期から素早く対応できた」とも言及した。当時盧英敏(ノ・ヨンミン)駐中大使と文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が事前に関連情報を報告したとし「これは記録として初めて残す話」と明らかにした。
また、日本の半導体素材3品目(フッ化水素、フォトレジスト、フッ化ポリイミド)に対する輸出規制に対応し「韓国の素材・部品・装備競争力強化対策は大きく成功した。日本の輸出規制は韓国の完勝、日本の完敗で終わった」と自評した。
ただ関連業界では「政府の対策に実質的な成果はなかった」という反論も出ている。韓国貿易協会の統計によると、フッ化水素の場合、対日輸入額が輸出規制発表直後の2019年7月以降に急減したが、文在寅政権4年目である2021年に前年比34%増と反騰したことがわかった。同じ期間にフォトレジストとフッ化ポリイミドの輸入量も大きく変わらなかった。
一方、文前大統領は文政権の外交方向を「バランス外交」としながら「わが政権はバランス外交で過去最高の成果を出した」と強調した。「韓米同盟が強固で、韓日関係が政治的にぎくしゃくした部分があったが、経済的や民間次元の交流では何の問題なく良く回り、中国とロシアと良い関係、北朝鮮とも平和を維持した。こうした時は過去の政権ではなかった」と主張した。
2024/05/19 10:35
https://japanese.joins.com/JArticle/318800