【コラム】米中により分けられる科学技術の世界(2)

投稿者: | 2024年5月19日

上海交通大学を卒業したワン博士は米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で博士号を取得した後、IBM研究員から始まり多くのキャリアを米国で積んできた。グーグル以前には北京のマイクロソフト研究所で4年勤務した。現在インスタカートのエンジニアリング副社長だ。多様な研究キャリアを通じて積んだアイデアと実力が優れたエンジニアだ。だがワン博士が今後中国にいる人材と共同研究をするのはこれ以上可能ではない。米中技術覇権戦争が始まってから米国が中国との科学技術交流を統制しているためだ。

オランダで開催された今年のIEEEデータエンジニアリング学会参加者の約60%は中国、香港からきた。これに対し昨年米国、カナダで開催された学会には中国人はほとんど参加できなかった。論文発表者もビザを得られなかったためだ。米国、カナダで開催される学会に中国人の出席が制限され、米国大陸ではなく欧州で開催された学会に彼らが集まったのだ。

 一方、米国内の研究者は米国政府の指針により中国で開催される学会の出席を避けている。AIなど米国が主導する戦略分野の学会では中国での学会開催を避けるべきとの主張が強く台頭している。それだけでなく、中国の学界の急速な量的成長による団結と論文の質の低下など中国に対する警戒の声も大きくなっている。

2018年12月6日、ファーウェイの孟晩舟最高財務責任者(CFO)に対する警察逮捕で米中技術覇権戦争が表面化した日、米国はワシントンで開催された韓米経済フォーラムで立場を明らかにした。米国は韓国に日本、オーストラリア、インド、ベトナムなどと連帯して中国の膨張を封鎖しようと提案した。その後ハーバード大学化学科のチャールズ・リーバー教授ら中国が不公正に米国の科学技術を引き抜く手段として認識した「天人計画」(中国の海外高級人材誘致計画)の米国内受恵者に対する起訴が始まった。

すでに米国の中国に対する封鎖は多方面に拡張されている。最近中東のAI先導国のアラブ首長国連邦(UAE)はAIの発展に向け設立した企業G42の最高経営責任者(CEO)席と王立AI大学総長などに中国系人材を迎え入れ協力関係を強めている。これと関連し米国メディアは米国がUAEに米中のどちらかを選択するよう圧力をかけたと報道した。もう科学技術分野で純粋な国際協力を図る時代は終わった。この変化の中で韓国はどのような戦略を持っているのか尋ねないわけにはいかない。

チャ・サンギュン/ソウル大学データサイエンス大学院特任教授

2024/05/19 13:21
https://japanese.joins.com/JArticle/318804

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)