韓国をはじめとする同盟国に一方的な相互関税を課して圧迫してきた米トランプ政権が中国のレアアース輸出統制措置に対し「すべての同盟国がともに対抗しなければならない」と促した。
米通商代表部(USTR)のグリア代表は15日、ワシントンの財務省でベッセント財務長官と異例の合同記者会見を開いた席で、中国のレアアース輸出規制を「世界すべての国に対する経済的強圧」と規定した。その上で「この規定は中国が世界経済と技術供給網全体を事実上統制することになる」と指摘した。
グリア代表は続けて「今回の措置は単純に米国との交渉でレバレッジを確保しようとする意図ではなく、世界の供給網を掌握しようとする中国の広範囲な計画の一部。われわれも同盟もそうした種類のシステムにはついて行かないだろう」と話した。
ベッセント長官もやはり「これは米国と中国との問題ではなく中国対世界の問題」と述べた。彼は「中国は容認できない輸出規制を全世界に課した。米国と米国の同盟は指示に従うことも規制を受けることもないだろう」と明らかにした。
ベッセント長官は続けて「勘違いしないように。中国政府内の一部が残念な行動と経済的強圧を通じて世界経済を鈍化させることを望むならば中国経済が最も被害を受けるだろう」としながら中国を正面から批判したりもした。
こうした反応は「同盟国が米国を恐喝してきた」として高率の関税と受け入れ難い条件の大規模対米投資を要求するなど同盟国を全方向で圧迫してきた既存の立場とは違いが生じる。米国メディアはトランプ政権が突然同盟国に向け対中共同戦線に出ろと要求した背景を中国が独占するレアアースに対する米国の脆弱さを示したものと指摘した。
実際にトランプ大統領は5月、中国からの輸入品に100%を超える高率の関税を課したが、中国が報復関税とレアアース輸出規制などで対抗し株式市場が大きく揺れると関税を大幅に撤回・猶予した。
トランプ大統領は9日、中国がレアアース輸出規制措置を再度発表すると翌10日に中国製品に対し100%の追加関税を課すと明らかにした。しかし「レアアース戦争」への懸念から証券市場が一斉に急落すると2日後の12日には「米国は中国を害しようとするのではなく助けたいだけ」としながら態度を変えた。中国の習近平国家主席に向けては「とても尊敬されている習主席がしばらく難しい時間を過ごしているもの」と述べた。
ベッセント長官もこうした弱点を一部認めた。彼はこの日CNBCとの対談で「中国がレアアース採掘の70%を占めるが、加工と精製は95%を掌握している。これが彼らがわれわれに行使する影響力」と話した。レアアース供給と関連しては「自給能力を備え、われわれの同盟国から調達できる能力を備えなければならない」としながらも、明確な代案は提示しなかった。
ベッセント長官は続けて「トランプ大統領は(第1次政権の)任期末にこれを解決しようとしたが環境運動家が反対してこのような状況になった」とした。その上で「歴代すべての政権が恥じなければならない」として責任を過去の政権に押し付けた。
当面のレアアース対応戦略と関連しては、核心戦略分野の企業に対する国の統制を強化する案を提示した。核心戦略分野企業の政府所有株式を増やす方式だ。
これに対してニューヨーク・タイムズは「米国の産業政策に新しい時代がきた。伝統的に好んできた自由市場と開放的投資とは対照的なアプローチ」と分析した。その上で「レアアース生産とバッテリー技術に対する中国の支配力が大きくなるにつれトランプ大統領がむしろ中国の経済戦略から一部をまねようとしている」と指摘した。
トランプ政権の核心経済ラインが同盟国に対中共同対応を促した中でトランプ大統領はこの日も「関税がなかったとすれば米国は存在感を失い、(中国に対する)防衛手段がなかっただろう」としながら関税政策の成果を強調した。
一方、韓国が米国との貿易合意の一環として約束した対米投資金3500億ドルと関連しては「先払いで支払うことにした」という主張を改めて繰り返した。
米国は韓国が投じた現金で自分たちの決めた投資先に投資し、収益の90%を持っていく方式の合意案を要求している。しかし韓国がこれを受け入れず最終合意には至っていない状態だ。条件の合意がなされたというトランプ大統領の主張は事実でないという意味だ。日本に対しても「6500億ドル(の投資)に合意した」としたが、日本が合意した投資規模は5500億ドルだ。
2025/10/16 16:59
https://japanese.joins.com/JArticle/339884