持ち分率50対50なのに「主導権ある」…シン・ジュンホCPOだけ信じたネイバーの錯覚(1)

投稿者: | 2024年5月20日

「ネイバーはLINE(ライン)で世界進出モデルを作った。社員が地団駄を踏んで苦しむのを見て私も苦しかった。本当に成功したかった」(2016年7月15日、LINE上場記者会見)。「2011年に東日本大震災が起きた時にここで死ぬのかと思うほどLINEのオフィスがあったビルが揺れた。10年間苦労したが(うまくいかず)事業をさらに進めるかやめるかを決めなければならないプレッシャーからオフィスでわんわん泣いた」(2019年、韓国社会学会・経営学会共同シンポジウム)。ネイバー創業者の李海珍(イ・ヘジン)グローバル投資責任者(GIO)がLINEの日本進出について説明した言葉だ。東日本大震災を契機にLINEは日本の国民的メッセンジャーになった。逆境と苦難、克服の叙事まで完全に備えたLINEはネイバーのグローバル事業のアイコンであり、李GIOと社員の血と汗と涙が溶け込んだサービス。そんなLINEをめぐりネイバーの悩みが深まっている。昨年LINEユーザーの個人情報流出事件で日本政府の2度にわたる行政指導があり株式売却まで考慮しなければならない状況になった。

韓国大統領室は14日、「LINEヤフーが日本政府に7月1日まで提出しなければならない個人情報流出再発防止策報告書に株式売却案を含まないことにした」と明らかにし、ネイバーとしては急いで株式を売却する必要はなくなった。ただ交渉が終わったわけではない。ネイバーは中長期世界戦略を考慮して慎重に決めるという立場だ。現在ソフトバンクと売却適正価格をめぐる溝が大きいとされ、業界では年内の売却は難しいかもしれないとの予想も出ている。

 LINEがなくても日本と東南アジアでネイバーが影響力を行使できるだろうか。「ビッグテック帝国主義」に抵抗した「内需企業」から世界的ビッグテックのひとつの軸になろうとする「チームネイバー」の未来はどうなるだろうか。

「ネイバーがLINEの株式の約83%を持っているために『LINEは韓国の会社である』という話が流れているのだろう。しかしその論理であれば、ネイバーの株式の約6割は外国人投資家によるものなので、ネイバーも、その子会社のLINEも韓国の会社ではない」(2016年、日経ビジネスインタビュー)。

李GIOは数回にわたり「LINEの国籍を問うことは意味がない」と強調してきた。しかし彼の望みと違い、日本では執拗に「LINEはどこの出身か」と尋ねられた。日本政府の姿勢が議論になっているが、事件の口実を提供したのはネイバーとLINEだ。両社が業務を委託した企業がサイバー攻撃を受け51万9000件に達するLINEユーザーの個人情報が流出したためだ。LINEヤフーの事情をよく知るIT業界関係者は「LINEは独立法人だが現地にインターネットデータセンター(IDC)インフラがないほどネイバーが安逸に運営した。これまでLINEのハッキングは何回もあったがおざなりに対応したのではないか振り返る必要がある」と話した。何度も警告音が鳴ったのにLINEとネイバーがこれを見過ごし、「自ら呼び起こした災難」と指摘される。

2021年にLINEヤフーの経営統合を宣言したネイバーとソフトバンクは50対50でAホールディングス(LINEヤフー親会社)の株式を持ち合った。ソフトバンクの決済サービス「PayPay」とLINEの「LINEペイ」が出血競争をしたが「このままでは両方死ぬ」という共感が形成され経営統合は急流に乗った。しかしひとつになってからはシナジーを出すことができなかった。韓国科学技術情報通信部が10日にLINE関連緊急会見で「ネイバーが技術をLINEヤフーに組み合わせるのに現実的な困難を経験しており、株式売却を含んださまざまな代案を中長期ビジネス観点から検討してきた」と話した理由だ。

合併後に李海珍氏がAホールディングス会長となったが、取締役会議長は共同代表であるソフトバンクの宮内謙社長が務めた。取締役もやはりソフトバンク側が多数を占めた。LINEヤフー取締役会の中では「LINEの父」であるシン・ジュンホ最高製品責任者(CPO)が唯一の韓国人だった。当時も「株式が50対50なら主導権はだれが握るのか」という質問が多かった。この時ネイバーが信じたのもシンCPOだ。LINEに関連した最終決定は彼がするため、ネイバーが主導権を握っていると信じた。だがLINEヤフーは8日に取締役会を開き、シンCPOを社内取締役から除外することを決めた。Aホールディングス設立当時、「経営はソフトバンク、技術はネイバー」と協議したが、事実上技術だけ移ったのではないかとの懸念が出ている。

2024/05/20 09:21
https://japanese.joins.com/JArticle/318820

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