「北朝鮮は核保有勢力」 トランプ大統領の発言で懸念すべき事態が現実に【10月27日付社説】

投稿者: | 2025年10月27日

 米国のトランプ大統領が北朝鮮について「一種の核保有勢力だと思う」と発言した。トランプ大統領は来韓前に記者団から「北朝鮮は米国との対話の条件として、核保有国としての認定が必要と主張している。その点に検討の余地はあるのか」との質問を受けた。トランプ大統領の上記の発言はそれに答えたものだ。トランプ大統領は「北朝鮮が核保有国として認められるべきと言うなら、彼らは多くの核兵器を保有していると私は言うだろう」との考えも示した。トランプ大統領は今年1月の就任直後にも北朝鮮を「核勢力」と指摘した。この発言についてホワイトハウスは「北朝鮮の核兵器について客観的に述べたに過ぎない」と弁解した。しかし今回は「核保有国」との見方を事実上認めることでさらに一歩踏み出した形だ。

 「金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談する計画はあるのか」との質問にトランプ大統領は「彼が連絡してくればそうする」と答え、金正恩総書記との会談についても「100%開かれているとメディアが広めてもよい」とも明言した。金正恩総書記も先日「トランプ大統領との良い思い出」を強調し「核保有国認定が米朝会談の前提条件」と主張した。これを受けトランプ大統領も北朝鮮を核保有国として認める可能性に言及し、金正恩総書記と会談したい意向を明確にしたのだ。2019年6月にもトランプ大統領は日本からSNS(交流サイト)を通じて会談を呼びかけ、それから32時間後に「米朝首脳の対話」が板門店で実現した。トランプ大統領はこれと同じような「サプライズイベント」を再び念頭に置いているようだ。

 トランプ大統領が北朝鮮を核保有国として認めれば、その時点で非核化を目指す段階は過ぎたことになる。「アメリカ・ファースト」に基づき北朝鮮の大陸間弾道ミサイルだけを廃棄し、中短距離ミサイルを放置した場合、韓国は核兵器の脅威に直面する。「軍縮」という大義名分で北朝鮮の核兵器が一部廃棄されたとしても、大韓民国を火の海にする核兵器はそのまま残る。核兵器を保有した状態で制裁を解除させ、韓米合同軍事演習をやめさせることが金氏一家の宿願だ。第1次トランプ政権当時の2018年に行われた米朝首脳会談でトランプ大統領は「韓米合同軍事演習には巨額の資金が必要」として訓練を一方的に中断させた。しかしその時点で「非核化」の方針は原則的に維持されていた。しかし今は「核保有国」という言葉が公然と語られている。

 「政治ショー」が好きなトランプ大統領の性格を金正恩総書記は誰よりもよく把握している。中国ともロシアとも関係が良好な今、北朝鮮が「核保有」にまで言及するトランプ大統領を利用したいと考える可能性は当然ある。また、二人が会うだけで大喜びする勢力は韓国にも少なくない。韓国統一部(省に相当)長官も「絶好の機会だ」と述べた。懸念すべき事態と言わざるを得ない。

2025/10/27 09:20
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/27/2025102780014.html

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