韓国統一部長官「文政権なら脱北しなかった」との脱北者の証言を突然公開

投稿者: | 2024年5月21日

 北朝鮮当局が統一戦線部を廃止せず「10局」に名称を変更して維持していると、キム・ヨンホ統一部長官が20日に明らかにした。統一戦線部は北朝鮮の対南政策を総括してきた朝鮮労働党中央委の専門部署だ。

 キム長官は同日午前、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足2周年」を機に、ソウル鍾路区(チョンノグ)の南北関係管理団の会談場で55分間にわたり行われた記者懇談会で、「北朝鮮は昨年末以降、二つの国家論を掲げ『(国家政策から)統一を消す』作業を進めており、まだ北朝鮮がまだ発表していないが、『統一戦線部』も『労働党中央委10局』に名前を変え、心理戦中心の機能を遂行している」と述べた。

 これに先立ち、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼国務委員長が労働党中央委第8期第9回全員会議(2023年12月26~30日)で「南北関係は敵対的な二国間関係」とし、「統一戦線部をはじめとする対南事業部門の機構を整理・改編するための対策作り」を指示して以来、統一戦線部の存廃が関心を集めて来た。北朝鮮当局は1月15日、最高人民会議第14期第10回会議で対南政策主務部署である内閣の祖国平和統一委員会の廃止を決定したと発表したが、統一戦線部の存廃については言及しなかった。

 統一戦線部が「労働党中央委10局」に名称を変え、「心理戦の機能」を果たしているというキム長官の発言について、統一部の高官は「統一戦線部の名称を変え、一部の機能に変化があったようだ」としながらも、「北朝鮮の対南戦略の基本路線、すなわち赤化政策には変わりがないとみている」と述べた。統一戦線部が「10局」に名称変更になったとしても、従来の機能に大きな変化はないという解釈だ。

 キム長官は、金正恩総書記の「二つの国家」路線について、「金正恩の統一と関連したいわゆる『先代の業績を消す』作業は事実上の『金日成(キム・イルソン)と金正日(キム・ジョンイル)の遺訓政治を弱めるもの』であり、北朝鮮内部に理念的混乱を呼び起こす可能性を排除できない」と述べた。

 6年間断絶した状況から抜け出せない南北当局の対話再開について、キム長官は「2019年(2月の2回目の朝米首脳会談の)『ハノイ・ノーディール』以降、北朝鮮が韓国に対して敵対的な行動を見せており、南北関係は行き詰っている状態」だとし、「今のところ、南北間の対話再開は容易ではないと予想する」と述べた。

 キム長官は「北朝鮮との対話に常に開かれている」とする一方、「一貫した3Dアプローチに向けた取り組み」を繰り返し強調した。北朝鮮と「対話」を掲げるよりも、北朝鮮の核・ミサイルを「抑止」して「断念」させるという「抑止(Deterrence)→断念(Dissuasion)→対話(Dialogue)」のアプローチを変えないという意味だ。

 キム長官は、金正恩総書記の「非核化の意志」と朝米首脳会談の失敗と関連した「米国の責任」を取り上げた文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の回顧録(『辺境から中心へ』に)に関する意見を尋ねられ、「交渉失敗の責任は北朝鮮にあることは明らかだ」とし、「北朝鮮の(核能力より非核化)意図を信じるとすれば、私たちにとって非常に否定的な安保上の結果をもたらしかねない」と批判した。

 さらにキム長官は記者団の質問がなかったにもかかわらず、「昨年東海(トンヘ)岸と西海(ソヘ)岸に漁船に乗って脱北した2家族のうち1人が『もし今も韓国に文在寅政権が続いたら、自分たちは脱北を決断しなかっただろう』と語った」とし、「文在寅前政権の対北朝鮮政策が果たして北朝鮮住民たちにどんな意味を持っているのか、非常に明確になる」と述べた。脱北者の「非公開証言」をマスコミにわざと公開し、「文在寅政権の対北朝鮮政策=反北朝鮮住民」という論理を展開したわけだ。キム長官は「2019年11月文在寅前政権が韓国に訪ねてきた北朝鮮人を強制追放した」と付け加えた。文在寅政権は2019年11月、同僚船員16人を殺害した後、南下した北朝鮮漁師2人を北朝鮮に送還したが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は文在寅政権のこのような政策判断が違憲・違法だとし、検察捜査を経て関連者を起訴し、現在裁判が進められている。

 キム長官は「拉致被害者・抑留者・国軍捕虜問題に対する国内外の共感の拡散」を強調し、24日に「統一部長官としては初めて拉致被害が実際に発生した現場を訪れる予定」だと述べた。これと関連して統一部は「24日と27日、『高校生拉致被害者送還祈願碑』の除幕式行事を(全羅北道群山市)仙遊島(ソンユド)海水浴場と(全羅南道新安郡)紅島(ホンド)海水浴場で、それぞれ開催する計画」としたうえで、「24日の行事には統一部長官とジュリー・ターナー米国務省北朝鮮人権担当特使、27日の行事には統一部次官などが参加する予定」だと明らかにした。

 仙遊島では1977年8月5日当時、高校1年生の金英男(キム・ヨンナム)君が、紅島では1978年8月当時、高校生のイ・ミンギョ、チェ・スンミン、イ・ミョンウ、ホン・ゴンピョ君などが北朝鮮に拉致されたという。金英男さんは日本人拉致被害者の横田めぐみさんの夫として知られている。

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https://japan.hani.co.kr/arti/politics/50071.html

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