尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が19日、法廷で「12・3非常戒厳宣布の直前、韓悳洙(ハン・ドクス)首相=当時=など閣僚たちは戒厳に反対する趣旨で再考を要請した」と証言した。尹・前大統領が証人として裁判に出るのは初めてだ。
この日、ソウル中央地裁で開かれた韓・元首相の内乱ほう助等事件の裁判に証人として出廷した尹・前大統領は「韓・元首相は戒厳に反対する趣旨で『考え直してほしい』と言った」と明かした。尹・前大統領は、健康問題を理由に19日の裁判には出廷できないとしていたが、裁判部が強制勾引手続きを予告するや、召喚時刻のおよそ1時間前に立場を変え、法廷に現れた。
尹・前大統領は裁判で「 私の供述は弾劾審判廷と中央地裁の公判調書に、ぶ厚い本1冊分も収められているので、それを参考にしてもらいたい」と証言を拒否したが、特別検察官チームが韓・元首相などの動きを追及すると、証言を始めた。
尹・前大統領は「当時、崔相穆(チェ・サンモク)企画財政部(省に相当。以下同じ)長官は『金融市場への余波はどうなりますか』と言い、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は『同盟諸国にどのように対処しますか』と尋ねた」「長びくことなく終わる戒厳だと考えて、二人に『金融市場の心配はしないでください』『米国・日本には安保室を通して説明するので心配しないでください』と答えた」と証言した。また「韓首相が『合法的外観を備えるために国務会議(閣議)を招集しよう』と建議したのか」という質問に対して、尹・前大統領は「長官たちの懸念や首相の建議を聞くのが『外観』か。閣僚たちは『外観』を備えるために来る人形ではない」と答えた。
また尹・前大統領は、戒厳当日にソウル・汝矣島の民主党舎などに軍兵力を送ったのは当時の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官だったと主張した。尹・前大統領は「金長官が『民主党舎などにも兵力を送らねばならないように思う』と言うので、私はすぐに止めて『民間機関には絶対に戒厳軍を送っては駄目だ』ときっぱり言った」「だから、軍が出動しても全部止まったと思う」と証言した。
なお尹・前大統領の証言に先立ち、証人として出廷した李祥敏(イ・サンミン)元行政安全部長官は証人宣誓を拒否し、過料の処分を受けた。内乱重要任務従事の容疑で起訴されている李・元長官は「関連の裁判が進行中」だとして証人宣誓を拒否した。これに対し裁判部が過料50万ウォン(約5万3500円)を賦課すると、李・元長官は「そうしなさい」と応じた。
また金・元長官の弁護人二人は、証人席に同席しようとして法廷から追い払われた。金・元長官の弁護人は、同席を要求したものの裁判部が許諾しないことから、引き続き傍聴席で手を挙げて発言し、退場させられた。裁判部は弁護人に監置15日を言い渡したが、ソウル拘置所が「違反者の人的事項が特定されていない」という理由で収容を拒否し、同日の夜に弁護人たちは釈放された。
オ・ユジン記者
2025/11/20 13:00
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