人事革新処が、国家公務員法の定める「服従の義務」を廃止することにした。1949年の公務員法制定時から76年間維持されてきた条項だ。韓国政府は「公務員は上官の命令に服従すべき」という現在の規定を「上官の指揮・監督に従って職務を遂行し、互いに協力すべき」と変えることにした。上官の指揮・監督に意見を出すことができ、違法な指揮・監督の履行を拒否できるという内容も法に明示したいとした。国防部(省に相当)も最近、違法な命令に対して拒否できるというただし書き条項を盛り込んだ軍人服務基本法改正案に賛成する立場を国会で表明した。
76年間維持された公職社会の「服従義務」を廃止したいのなら、明確な基準があるべきだ。韓国政府と進歩(革新)系与党「共に民主党」は、京畿道城南市大庄洞の土地開発を巡る背任事件の裁判における控訴放棄の経緯や法理的理由を説明してほしいという検事たちの要求を「集団抗命」と決め付け、その根拠として国家公務員法を挙げた。当時、民主党の院内代表は「抗命検事たちは国家公務員法に基づいて解任または罷免する」と脅した。大統領室と法務部(省に相当)は「控訴放棄の『命令』を下したことはない」と足抜けを図っているのに、検事たちによる異議の提起を「抗命」と決め付けること自体が矛盾だった。
検察庁法は、上級者の指揮が正当でないと思うのなら検事は異議の提起ができるように定めている。公務員法を持ち出して検事たちに「抗命」だと言っていた人々が、急に「公務員の服従義務を廃止したい」というのであれば、これもまた矛盾だ。
韓国政府が法に明文化したいとする「上官の指揮・監督に対する意見を出せる」という条項によるならば、控訴放棄を巡る検事たちの説明要求は合法的行為だった。公務員法改正に先立って、検事たちに罷免や降格の脅しをかけていた人々の謝罪があるべきだ。公務員たちが拒否できるという「違法な指揮・監督」が何なのかも、明確に定めるべきだ。とりわけ軍人たちの場合、「正当な命令」と「違法な命令」を明確に規定しなければ、命も同然の軍の紀綱を崩してしまいかねない。民主党の言うことを聞かなければ抗命で、他人の言うことは聞かなくてもいい、という「服従義務」廃止だとしたら、正当性はない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
2025/11/26 14:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/11/26/2025112680073.html