こうしたトランプ政権の戦略は5日に公開された米国の新たな国家安全保障戦略(NSS)でも如実にあらわれている。NSSは4年ごとに出す米国の安全保障戦略の核心を記述した報告書だ。今回含まれた中国関連の内容は2022年のバイデン政権当時とは大きな違いがみられる。バイデン政権は「中国は米国の最も重大な地政学的挑戦だ。中国を凌駕しなければならない」と規定した。これに対しトランプ政権は「米国の経済的独立性回復に向け中国との関係を再調整するだろう。相互に利益になる関係を維持すれば米国経済が成長するだろう」と書いている。
このためトランプ政権の中国に対する認識が北東アジアで中国の覇権を認めるのではないかという懸念まで出ている。少なくともNSSによるとトランプ政権は中国が台湾侵攻などレッドラインさえ超えなければ、現状維持をしながら北東アジアで米国の利益を最大化させる方向で行動する点を明確にしている。
インド太平洋地域でまた別の核心同盟国である韓国に日本の事例は他山の石になるかもしれない。新しいNSSが含んでいる韓半島(朝鮮半島)関連の内容もやはりこれまでとは差が大きい。今回のNSSにはバイデン政権当時に17回も登場した北朝鮮に対する言及が一度もなかった。その上既存の拡大抑止を通じた同盟国に対する「核の傘」提供の部分も抜けている。当時は「韓半島非核化に向けた具体的な進展に向け北朝鮮と持続的な外交を追求すると同時に、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)とミサイル脅威に対抗して拡大抑止を強化するだろう」と明らかにした。トランプ大統領は9月の国連総会での基調演説でも北朝鮮関連の言及をしなかった。これに対してワシントン内外では「トランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との対話を念頭に置いたもの」という分析も出ている。
ウクライナ戦争で見せた米国の欧州同盟国軽視が北東アジアで再演される可能性が大きくなっているという見方もある。中日対立でトランプ政権の役割を冷徹に注視しなければならない理由だ。
チェ・イクジェ/国際先任記?
2025/12/14 10:21
https://japanese.joins.com/JArticle/342129