米国主導の「AIサプライチェーン同盟」パックス・シリカ発足…韓日を含む9カ国参加

投稿者: | 2025年12月15日

 米国が主導する人工知能(AI)サプライチェーンの枠組み「パックス・シリカ」が韓国や日本など9カ国が参加した中で発足した。中国がレアアースをはじめとする重要なサプライチェーンに対する強力な統制力を持つ中、米国が自国主導のAIサプライチェーン環境を構築するために主要同盟国を糾合したのだ。

 米国務省は12日(現地時間)、ワシントンで韓国、日本、シンガポール、オランダ、英国、イスラエル、アラブ首長国連邦、オーストラリアなどと共に初の「パックス・シリカ・サミット」を開催した。参加国のうちアラブ首長国連邦とオランダを除く7カ国は会議の合意事項を反映した「パックス・シリカ宣言」に共同署名した。パックス・シリカは平和を意味するラテン語「パックス(Pax)」と半導体主要材料である「シリカ」を組み合わせたものだ。

 韓国外交部が13日公開した宣言文で、参加国は「私たちは信頼できるサプライチェーンが私たちの共同経済安全保障に欠かせないことを認識する」とし、「グローバル技術サプライチェーンの戦略的分野における協力強化に向けた取り組みを奨励する」と述べた。協力強化分野にはソフトウェア・アプリケーションおよびプラットフォーム、データインフラ、半導体、鉱物精製・加工、エネルギーなどが含まれると明示した。

 宣言文はこれと共に、公正な市場秩序の形成を強調した。「経済安全保障のためには強圧的依存を減らし、公正な市場慣行を遵守する信頼できるパートナーおよび供給企業と新しい連係を構築することが必要だと考えている」としたうえで、「革新と公正競争を阻害する非市場的慣行に対応し、民間投資を過剰生産および不公正ダンピング慣行など、市場歪曲から守る」という内容が含まれた。中国を名指ししたわけではないが、「非市場的慣行」、「過剰生産と不公正ダンピング」などの文言は事実上中国を牽制した内容と言える。宣言文は「情報通信技術体系、光ケーブル、データセンター等において信頼に基づいた情報ネットワークを構築・運営する」方針も示した。

 会議を主宰したジェイコブ・ヘルバーグ米国務省経済次官は「パックス・シリカ・サミット」が世界最高の先端技術を保有した国家が一堂に会し、経済安全保障強化案を議論する新しいパートナーシップだとし、AI、半導体など先端産業バリューチェーン全般にわたり「類似した立場を持った国」たちがそれぞれの能力をもとに信頼できる協力ネットワークを構築することを提案した。

 韓国の首席代表として会議に出席した外交部のキム・ジナ2次官は会議で、バッテリーや半導体、エネルギーなどの分野で強みを持つ韓国企業の能力をもとに、サプライチェーンの安定に貢献していく意志を明らかにした。韓国外交部によると、キム次官はこれと共に「パックス・シリカ・サミット」が参加国の企業に友好的な環境作りに役立つ方向で協力を進めていくべきだと強調したという。

 パックス・シリカ参加国は今後、細部分野別の実務グループを構成し、具体的な協力課題を調整していくことにした。韓国政府もやはり韓国企業の強みを生かした共同投資・研究、人材交流などの成果のために後続議論に参加する予定だ。ただし、中国牽制という米国の戦略的目的をめぐり、参加国間の温度差が明らかになる可能性がある。今後、米国が輸出規制など中国を直接狙ったより攻撃的な政策参加を求めた場合、負担が大きくなりかねないという懸念もある。

2025/12/14 20:51
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/54961.html

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