【社説】旧統一教会関連授受疑惑、政治的攻防よりまず実体把握を

投稿者: | 2025年12月15日

 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)関連の与野党議員の金品授受疑惑が連日政界を熱くしている。こうした中で、事件を触発させたユン・ヨンホ元旧統一教会世界本部長が12日、法廷で突然「そのような話をしたことはない」と前言を翻したことで、混乱がさらに深まっている。「国民の力」や「改革新党」など保守野党は連日特検の導入を要求する一方、与党「共に民主党」はこれを一蹴している。政治的攻防を繰り広げる前に、まず事件の実体をきちんと把握しなければならない。

 警察庁国家捜査本部(国捜本)は10日、ミン・ジュンギ特別検察官(特検)チームから関連記録の移牒を受け、23人規模の捜査チームを構成し、本格的に旧統一教会の与野党政治家への金品提供疑惑に対する捜査に着手した。国捜本はチョン・ジェス前長官とイム・ジョンソン前議員、キム・ギュファン元議員らを政治資金法違反と賄賂容疑などで立件し、出国を禁止した。

 問題は実体がまともに把握されていない状態で疑惑だけが膨らみ、あらゆる推測が飛び交っていることだ。特にユン元本部長の暴露が疑惑の出発点だったが、彼は12日、法廷で「会ったこともない方々に金品を提供するということはあり得ない話だ」として、供述を完全に覆した。現在としてはユン元本部長の陳述の他に具体的な物証も出ていない。

 しかし、ユン元本部長の否認と関係なく国民的疑惑が大きくなった状況であり、捜査を通じてその実体を徹底的に糾明する必要がある。特定の宗教団体が莫大な資金と組織力を前面に出して与野党を同時にロビーの対象にしたとすれば、これは単なる不法政治資金事件を越え、政教分離の原則を崩す重大な事案だ。特に、韓日海底トンネル事業など具体的な政策とかみ合ったという陳述まで出た以上、公的決定過程についても調べなければならない。

 野党第一党の「国民の力」は連日、今回の疑惑を政権レベルのゲートと規定し、「特検」の導入を求めている。だが、これまで明確な実体が明らかになっていない状態で「ゲート」などと称してレッテルを貼ろうとするのは過度な政治的攻勢と思われる。まずは、政界が警察捜査に積極的に協力し、実体の把握を支援することを優先しなければならない。捜査が不十分だと判断されれば、その時に特検を導入するかどうかを議論しても遅くない。

 旧統一教会も沈黙と否定で今回のことをやり過ごせると考えてはならない。旧統一教会側の組織的ロビーと政界の関連性についてすべてを透明に明らかにし、もし誤りがあればそれにふさわしい法的・道徳的責任を負うことが旧統一教会のためにも正しい選択だろう。

2025/12/14 18:38
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54965.html

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