2022年11月、江陵(カンヌン)の天気は初秋のようだった。30日のうち11日間、3日に1日の割合で日中の最高気温が20度を超えた。26.5度(12日)まで上がった日もあった。2024年にも「暖かい11月」が訪れた。20度を超える日が9日もあり、一度も最低気温が氷点下を記録しなかった。
江陵の11月の平均気温は2018年に10度を越えてから、それを下回らなかった。4月から11月までの8カ月間、月平均気温が10度を超える年が2025年まで続いた。米国の地理学者グレン・トレワダ氏の気候地域分類基準で、「亜熱帯」に当たる「月平均気温が10度以上の月が年間8カ月以上の地域」に江陵が含まれているのだ。
朝鮮半島の亜熱帯圏は2025年11月現在、西側には光州(クァンジュ)、内陸では大邱(テグ)、東海岸では江陵まで北上したことが分かった。
ハンギョレは「気象庁気象資料開放ポータル」に公開された各地の気象観測資料をもとに、この50年間にわたる朝鮮半島内の亜熱帯圏の北上地図を描いてみた。まず、全国および広域平均資料を算出する62の観測地点と済州(チェジュ)の4つの観測地点など、66地点の1971年以後の月平均気温資料を収集した。傾向の変化をうまく捉えるため、当該年度を含め、最近5年間の平均値を算出した。これを基準に月平均気温が10度以上の月を数え、年間8カ月以上の年が3年以上続くと、亜熱帯圏に属すると分類した。
1975年には、亜熱帯圏が済州と釜山(プサン)、慶尚南道統営(トンヨン)までに止まっていた。済州は最も古い観測資料がある1927年以前にすでに亜熱帯圏に属していた。釜山は1927年、統営は1972年から亜熱帯だったことが分かった。
1976年から2000年の間、全羅南道莞島(ワンド、1977年)、麗水(ヨス、1978年)、木浦(モクポ、1986年)、慶尚南道昌原(チャンウォン、1989年)、慶尚北道浦項(ポハン、1990年)、慶尚南道巨済(コジェ、1990年)・南海(ナムヘ、1990)・蔚山(ウルサン、1997年)が亜熱帯圏に加わった。
2001年から2025年の間には光州(2018年)と全羅南道高興(コフン、2023年)が亜熱帯圏に新たに含まれた。慶尚北道でも境界が北上し、盈徳(ヨンドク、2022年)・蔚珍(ウルチン、2022年)、そして大邱(2023年)が亜熱帯圏に属するようになった。江原道では江陵(2021年)が初めて亜熱帯圏に加わった。
亜熱帯圏には分類できないが、月平均気温が10度を越える月が8カ月の年が最近5年の中で2~3年の「亜熱帯境界線地域」には、全羅南道海南(ヘナム)、全羅北道井邑(チョンウプ)・扶安(プアン)・群山(クンサン)、慶尚南道晋州(チンジュ)、忠清南道保寧(ポリョン)、忠清北道清州(チョンジュ)、江原道束草(ソクチョ)がある。
江陵より約50キロメートル北側にある束草は2024年から2年連続で、月平均気温10度以上の月が8カ月あった。5年平均値ではない当該年度の平均気温では、月平均気温10度以上の月が8カ月である年が最近5年のうち3年だった。2026年にも同じ流れが続けば、亜熱帯圏に分類すべき地域だ。これは東海岸地域が朝鮮半島内の他の地域に比べて非常に速いスピードで暖かくなっていることを示す。実際、釜山から蔚山、浦項、盈徳、蔚珍を経て江陵まで、東海岸における亜熱帯圏の北上速度は世界的な傾向よりはるかに速いことが分かった。
江陵の2021年の年平均気温(14.6度)は、釜山の1971年の年平均気温(13.9度)より0.7度高かった。緯度上の距離が288.6キロメートル離れた釜山から江陵まで亜熱帯が北上するまで50年かかった。10年に57.7キロメートルの速度で北上したのだ。この速度は陸地と海洋が共に存在する緯度(南緯50度~北緯80度)で陸地の気候変化の速度(時間にともなう等温線の移動)が10年当り27.4キロメートルという従来の研究結果(国際学術誌「サイエンス」に2011年に掲載された「海洋と陸上生態系の気候変化速度」)に比べ、2.1倍速いものだ。
韓国では4〜10月の7カ月間、月平均気温が10度を越える地域が多い。10度以上の月が年間8カ月を超えるかどうかは、大体11月の平均気温が左右する。これには海面温度が大きな影響を及ぼす。太白山脈が冷たい北西風を遮断し、暖流の影響を受けるうえ、水深が深い東海(トンヘ)の方が西海(ソヘ)より年平均海水面温度が3度以上高い。建国大学のチェ・ヨンウン教授(地理学科)は「(地球温暖化の過程で)韓国が属している中緯度陸地地域の地表面気温の上昇幅は、他の地域より1.5~2倍程度大きい」とし、「これに加え、韓国は東海岸の水温が高く、亜熱帯化が急速に進んでいる」と説明した。
大邱と光州はさらに南にある慶尚南道晋州・密陽(ミリャン)、全羅南道海南・長興(チャンフン)などよりも先に亜熱帯圏に入った。これはヒートアイランド現象で気温上昇をもたらす「都市化」のためとみられる。チェ教授は「都市化の効果はこの40年間、韓国の温暖化傾向を30〜45%強化させた」と話した。
1975年から2024年の間、気候変動の影響による年平均気温の上昇幅を見ると、韓国の全国平均気温は1.67度上がり、地球表面温度の上昇幅(1.51度、米国航空宇宙局)より大きかった。韓国内では原州(ウォンジュ、3.17度)、清州(チョンジュ、3.08度)、江陵(2.46度)の上昇幅が全国平均を大きく上回った。釜山は1.68度、ソウルは2.02度上昇した。この5年間、ソウルの11月の平均気温は8.7度だった。1975年以降のソウルの気温上昇速度を踏まえ、算術的に計算してみると、約32年後にはソウルも亜熱帯圏に属する可能性がある。
もちろん、トレワダ氏の分類上、亜熱帯圏に属するようになったからといって、その地域の気候や植生が典型的な亜熱帯の姿へと変わったわけではない。統営市が2004年から植えたヤシの木が2010年冬の寒波に多く枯死し、江陵市が鏡浦海辺に植えたヤシの木を気温低下に伴い温室に移さざるを得なかったのは、亜熱帯気候が定着するにはまだ早い状況であることを示している。
「暖かくて暮らしやすい気候帯の拡散」とも大きな距離がある。極限の豪雨や猛暑など、気象異変が頻繁になっているためだ。2025年7月17日の1日間、100年に1度の豪雨が忠清南道瑞山(ソサン)や光州などで15件が発生したのがその事例だ。猛暑日数は1910年代には年平均7. 7日だったが、2020年代に入って16. 9日で倍以上増えた。6月と9月にも猛暑が訪れることが頻繁になっている。日照りと異常寒波も多く発生している。
啓明大学のキム・ヘドン教授(環境工学科)は、韓国の気候が温帯から亜熱帯に変わることについて、「従来の生態系の気候適合性が消えていく」と語った。人と動植物が長年適応して生きてきた温度と湿度などの環境が変わることを意味する。亜熱帯化が進むと、伝統的にはっきりしていた四季の体系が崩れ、長い夏と短い冬という特徴の新しい気候体系を迎えるようになる。この新しい気候は私たちの生活に広範囲な影響を及ぼすものと予想される。端的な例として、韓国と中国、日本での主食である粘り気のあるジャポニカ米は主に温帯気候で栽培されるが、亜熱帯に気候が変われば、それに合うパサついた食感のインディカ米を栽培せざるを得ない状況になる可能性もある。キム教授は「気候危機による亜熱帯化は『非正常の日常化』」だとし、「こういう状況をニューノーマルとみて、国土管理と社会システム全般に対する事前準備を徹底していかなければならない」と話した。
2026/01/05 10:59
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