◇「米国、かつての栄光を取り戻そうと無理な戦争」
英国を圧迫した米国が、70年の時を超えて米国版スエズ・モーメントに直面するかもしれないという観測が出ている。ウィスコンシン大学マディソン校のアルフレッド・マッコイ教授は「56年のスエズ危機は、強大国が引き起こしたマイクロ・ミリタリズム(Micro-militarism)の代表的な事例」とし、「米国のイラン攻撃もやはりマイクロ・ミリタリズムと見ることができる」と評価した。マイクロ・ミリタリズムとは、衰退する超大国や帝国が過去の栄光を取り戻すために局地的な軍事介入を敢行し、さらなる衰退を経験することを意味する。
実際に米国は、スエズ・モーメント当時の英国と似た境遇にある。最高指導者のアリ・ハメネイ師らイラン指導部数十人を暗殺し、主要な軍事施設を破壊するなど戦闘では圧倒したが、ホルムズ海峡が封鎖されると、明確な出口戦略を見いだせずにいる。
国際原油価格は急騰し、イランによるスウォーム(群れ)ドローンや弾道ミサイル攻撃で中東の米軍基地や湾岸諸国の被害は増えている。海兵隊などでカーグ島などを占領したとしても負担は大きい。ブルームバーグ通信は「イランの強い参戦要請に対し、イエメンのフーシ派武装組織が、米軍がカーグ島を占領した場合は紅海を封鎖する方針を固めた」と報じた。イランもまた、強力な報復を明らかにしている。
◇能力の限界を露呈した「米国版スエズ・モーメント」の可能性
こうしたことから、今回の戦争が米国の能力の限界を示しているとの評価が出ている。欧州や日本、韓国などに護衛艦を要請するなど、ホルムズ海峡でイランを圧倒するに足る、十分な海軍力を備えていないことを露呈させた。米国の覇権を象徴する「ペトロダラー」に亀裂が入る兆しもある。イランが、人民元で原油代金を決済した船舶を中心に海峡を通過させる考えを示しているためだ。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のファワズ・ゲルゲス教授は、米政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」に対し、「トランプ大統領はイラン政権の除去という当初の目標を達成するどころか、イランに『ホルムズ海峡という効果的なカードを自分たちが持っている』ということを知らしめてしまった」とし、「今後、米国主導の秩序は以前のようにはいかないだろう」と展望した。あわせて「湾岸諸国は米国との関係をすぐには断たないだろうが、中国やロシアなどに多角化し、米国への依存を減らすはずだ」と付け加えた。
プリンストン大学のハロルド・ジェームズ教授も「スエズ・モーメント当時の英国やフランスのように、米国も今後、自ら招いた危機を単独で解決することはできないだろう」と評価した。
2026/04/01 08:27
https://japanese.joins.com/JArticle/346987