北朝鮮は27日午後10時44分ごろ、平安北道東倉里(トンチャンニ)一帯から軍事偵察衛星を打ち上げたが、2分後の午後10時46分ごろ、北朝鮮領海の西海(ソヘ)上で空中爆発した。韓国の合同参謀本部(合参)が28日未明に明らかにした。朝鮮中央通信も同日0時22分、「(偵察衛星)『万里鏡1-1号』を新型衛星運搬ロケットに搭載し、打ち上げを断行した」とし、「新型衛星運搬ロケットは第1段階の飛行中に空中爆発し、打ち上げは失敗した」と発表した。
打ち上げ失敗の原因について北朝鮮は、「新たに開発した液体酸素+石油発動機の動作信頼性」の問題だったとし、新たなロケットエンジンを開発し用いたためだと説明した。合参の関係者も「1段推進体が爆発したため、燃焼系統に問題があるのではないかと推定する」と述べた。
北朝鮮の報道では、地上の目標物の写真を撮る衛星は「万里鏡1-1号」、衛星を打ち上げるロケットは「新型衛星運搬ロケット」と表現されている。昨年11月21日に北朝鮮が打ち上げた軍事偵察衛星に搭載された衛星が「万里鏡1号」であることを考えると、今回の「万里鏡1-1号」は昨年11月の衛星の性能を改良したものとみられる。
これとは異なり、ロケットは昨年11月に衛星を軌道に乗せることに成功した「千里馬1号」ではなく、「新型衛星運搬ロケット」だった。北朝鮮は6カ月で新型ロケットを導入したことを明らかにしたのだ。
軍当局は、北朝鮮が苦労して開発した白頭山エンジン系列の「千里馬-1号」の性能を改良せずに、新たなロケットを使用した理由を分析している。ロシアとの軍事協力を重視しているという。
北朝鮮は、新型衛星運搬ロケットの1段ロケットは新たに開発した液体酸素+石油(ケロシン)発動機(エンジン)だと明らかにした。このロケットはロシアのアンガラ(RD-191)であることが推定される。アンガラは燃料の燃焼に不安を抱えるが、性能は物体を押し上げる力などが優れている。液体酸素+ケロシンは、韓国の宇宙ロケット「羅老(ナロ)号」や「ヌリ号」にも用いられている。
韓国や米国などは北朝鮮が衛星を打ち上げる度に、弾道ミサイル技術を用いた一切の打ち上げを禁止する国連安全保障理事会決議に真っ向から違反していることを強調しつつ、事実上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発と見なしてきた。北朝鮮が今回、韓国なども使用したことのある方式のロケットを公開したのは、ミサイルではなく衛星であることを強調することを意図したものとみられる。
大統領室は27日午後11時40分、チャン・ホジン国家安保室長の主宰で安保状況点検会議を開催し、翌日未明の報道資料で「国家安保室は大統領に関連内容を直ちに報告した」と発表した。会議の出席者は「韓国政府と国際社会の度重なる警告にもかかわらず、北朝鮮が昨年11月に続いてまたしても『軍事偵察衛星』を打ち上げたことは、成功かどうかとは関係なしに国連安保理決議違反であり、朝鮮半島と北東アジア、国際社会の平和と安保を脅かす挑発行為だと考える」と糾弾した。
韓米日の北朝鮮核問題の代表であるイ・ジュニル外交部朝鮮半島政策局長、米国のチョン・パク国務省北朝鮮担当高官、日本の浜本幸也外務省アジア大洋州局参事官はこの日未明、3者で有線協議を行い、今後の北朝鮮のさらなる挑発の可能性に徹底して備えるとともに、いかなる北朝鮮の挑発にも断固として対応するよう、国連をはじめとする国際社会と緊密に協力することを決めた。外交部が語った。
2024/05/28 19:57
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/50152.html