イスラエルは韓国の反面教師 【朴露子の韓国、内と外】

投稿者: | 2026年4月29日

 イスラエルと朝鮮半島は地理的には遠く離れているが、歴史的には意外にも近いところがある。イスラエルの建国と朝鮮半島における二つの分断国家の成立は、奇しくも同じく1948年に行われた。朝鮮戦争は、ソ連の支援を受けて建国されたイスラエルが、米国陣営の一員として組み込まれるきっかけとなった。ところが、1973年に第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)が引き金となった第1次オイルショックが韓国経済を直撃して以来、イスラエルとその近隣諸国との関係は、韓国に直接的な影響を及ぼすようになった。イスラエルと米国によるイラン侵攻が招いた戦争局面が、韓国経済を危機に追い込んでいる今日の状況もまた、その延長線上にある。

 こうした状況の下、政治家をはじめとする韓国の各界各層の人々がイスラエルの動向に敏感に反応するのは当たり前かもしれない。最近では李在明(イ・ジェミョン)大統領までもが、ガザ地区におけるイスラエル軍の蛮行をソーシャルメディアで糾弾したことで、イスラエル外務省だけでなく、韓国の強硬な右派からも批判を受けた。だが、ユダヤ人に対する韓国人の関心は近代初期から深く、このような種類の糾弾も決して目新しいものではない。ひいては進歩(革新)派だけの専有物でもない。

 日本統治時代に李如星(イ・ヨソン、1901~?)のような社会主義者たちが、パレスチナ内のシオニスト入植者たちを「アラブ人を抑圧する英国帝国主義の協力者」と見なしていたのはもちろんのこと、 尹致昊(ユン・チホ、1865~1945)のような保守的な人物でさえ、英文日記の中で、シオニスト入植者によるパレスチナ経済の掌握を、植民地朝鮮内の日本人入植者や日本企業の振る舞いと比較しつつ、かつて東欧で虐待されていた少数者が強者となった途端、このように抑圧者へと変わった状況を嘆いた。現在、イスラエルの国旗を星条旗と共に掲げることがある韓国の極右勢力の奇妙なイスラエル観は、韓国の近代の伝統というよりは、あくまでイスラエルを米国の分身と見なし、米国を絶対的な善とみなす冷戦時代の国際観の極端な残滓といえる。

 冷戦時代から、韓国の強硬保守派はしばしばイスラエルを韓国の「モデル」と見なしてきた。極右論客たちはイスラエルの武器産業や、女性までも徴兵対象となる徹底した国民皆兵制を称賛する一方で、中道的なメディアでさえ、戦争勃発時に国外に滞在中のイスラエル予備役たちが直ちに帰国便に乗り、躊躇なく入隊して戦場へ駆けつける話を美談のように報じたりもした。さらに、社会主義的なルーツを持つイスラエルのキブツ(集団農場)さえ、一時はセマウル運動の参考モデルとなったこともあった。ユダヤ人の社会や文化に対する関心が高いことは、様々な意味で肯定的かもしれないが、果たしてイスラエルは韓国人が目指すべき参考モデルなのだろうか。筆者はむしろ、イスラエルを韓国の反面教師にするべきだと考えている。

 この意見に対し、イスラエルの「先進性」を挙げて反論する人も多いだろう。イスラエルの1人当たり国民所得は韓国より40〜60%ほど高く、その経済の中核となるのはハイテク産業だ。ハイテクはイスラエルの国民総生産の約17%、輸出額の約50%を占めている。経済成長の半分ほどはハイテクに依存しており、全労働力の10分の1は高学歴のハイテク従事者だ。「成長率」や「付加価値」、「一人当たり国民所得」を一種の物神のように扱う開発主義的な世界観とほぼ一体化している韓国の保守層にとっては、まさに理想的なモデルに見える構造だろう。

 問題は、この世界最高水準のハイテク複合体が果たして「何のために」存在しているかだ。世界が羨むイスラエルのハイテクの背後には、軍産複合体が巨大な根を降ろしていると言っても過言ではない。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の資料によると、総人口が1000万人にも満たないイスラエルは、2021〜2025年の平均基準で世界第7位の武器輸出国であり、世界の武器輸出の約4%を占めている。参考までに、イスラエルより人口が5倍以上多い韓国も、武器輸出国として9位圏内に入っている。保守から中道・進歩まで、誰もが「K-防衛産業」の国際的な躍進を歓迎するムードの中で、韓国よりも先に殺人機械の国際市場に進出し、韓国以上のシェアを占めるイスラエルが、一種の「モデル」と見なされているのかもしれない。だが、ここで一つ必ず覚えておくべきことがある。イスラエルの武器がこれほど脚光を浴びる理由の一つは、まさにこれらの武器が実戦で毎回検証されているからであり、ここで実戦とは概してガザ地区やレバノンなどの近隣地域を相手にした無慈悲な侵攻と虐殺を意味する。李大統領が糾弾した蛮行は、まさにこのような侵攻の不可避な一部に当たる。

 イスラエル経済が武器生産を主軸とするならば、イスラエルの社会と政治は戦争を離れて存在したことがない。切っても切れない関係にある。人口構成が多様な地域であるパレスチナに19世紀末から流入し始めたシオニスト入植者たちは、当初からパレスチナの「すべての」住民のための民主国家ではなく、血統本位の「ユダヤ人国家」の建設を望んでいた。これは、民族を超越した社会統合を最初から放棄した建国思想であり、究極的には「民族浄化」と恒久的な戦争へとつながるざるを得ない発想だ。イスラエル市民の約21%がアラブ系であるにもかかわらず、アラブ人とユダヤ人の間の結婚は今も極めて例外的なことだ。つまり、今も「ユダヤ人」という範囲を超えた社会統合はほとんど成し遂げられていない。特定の民族の優越的な地位が法制化されたこの社会では、極右勢力の独走を牽制できる政治勢力さえも力を失った。議会内の中道派は約25~30%、左派は7~10%の議席を占めているが、中道派でさえイラン侵攻などを支持している状況は、イスラエル社会が長期的に平和を志向していけるかについて、根本的な疑念を抱かせる。

 未来の韓国のための望ましい道は、イスラエルが歩んでいる軌道の正反対にあると、筆者は信じている。「K-兵器輸出の成功」を称賛する声は高いが、戦争と地政学的緊張に支配された輸出成長は、実は最悪の未来シナリオではないだろうか。イスラエルの金科玉条である徹底した血統主義もまた、韓国が究極的に脱却すべき時代錯誤的な遺産だ。人口が急激に減少するこの時代、韓国の未来は民族を超越した市民的統合にかかっている。同様に、イスラエル式の右派独走は、韓国にとって悪夢のようなシナリオだ。韓国が決して向かってはならない方向を、あまりにも鮮明に示している国、それがまさに今日のイスラエルだ。

朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)|ノルウェー・オスロ大学 教授(韓国学)

2026/04/28 19:28
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/56052.html

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