サムスン電子労組が史上初めてストを宣言した。1969年の会社創立から55年で初めてだ。サムスン電子社内最大労組である全国サムスン電子労働組合はきのう、ソウルの瑞草(ソチョ)社屋前で記者会見を行い、「使用側が交渉条件を受け入れないことからただちにストに臨む」と明らかにした。組合は成果給の割合が大きいサムスン電子の補償構造に透明で明確な成果給支給基準が必要だとし、営業利益を基準とした成果給支給を要求している。現在は目標比成果(EVA・経済的付加価値)に対して支給する構造だ。
スト後初めての団体行動は年次休暇闘争だ。組合は「スト指針第1号として組合員に来月7日に団体で年次休暇の使用を要請するだろう」と明らかにした。2次・3次行動段階を踏んで全面ストまで進むかもしれないともした。2019年に発足した同組合はサムスン電子内5つの労組のうち最大の労組で、代表交渉権を確保し使用側と賃金交渉と団体交渉を進めてきた。組合員数は2万8400人で、昨年末基準で全社員12万4804人の22.8%水準だ。昨年は業績不振で成果給を支給しなかった半導体(DS)部門社員の加入が増え規模が大きくなった。
労組の団体行動は憲法上保障された基本権で当然の権利だ。サムスングループが2020年に「無労組経営破棄」を宣言してから労組との対話を通じた成熟した労使文化形成と定着において避けられない過程でもある。ただ業績不振などによりサムスン電子が半導体部門のトップを電撃交代し役員の週休1日制勤務を導入するなど非常経営体制に入った状況の中で「労組リスク」まで大きくなるのは懸念される。きのうサムスン電子の株価は3.09%下落した。
サムスン電子は業況不振の中で半導体だけで昨年15兆ウォンの営業損失を記録した。半導体売り上げ1位の企業だがメモリー後発企業の追撃は激しい。最も核心である技術競争力も揺らいでいる。広帯域メモリー(HBM)市場でSKハイニックスに主導権を奪われ、ファウンドリー分野でも台湾のTSMCに追いつかなければならない絶体絶命の瞬間に立っている。米国と日本、中国など各国が主導する世界的な半導体競争も激しくなっている。スマートフォンもシェア世界1位だが中国市場の不振は厳しい部分だ。
危機克服に向けた道はストを宣言した組合側の発言から探すことができる。組合は「仕事をしただけ補償を受けられないという考えに士気がものすごく落ちている。結局社員が立ち上がり情熱をつくせば危機を克服できる。サムスンは底力がある」とした。超一流企業の地位を守れるよう労使が不和と対立ではなく、企業の成長と社員の福利に向けた共存の道を対話で見つけなければならない。危機を克服するサムスン電子の底力はそこから出る。
2024/05/30 13:05
https://japanese.joins.com/JArticle/319328