ドナルド・トランプ米大統領が、台湾への武器販売を中国との関係において「交渉の切り札」として活用できると述べた。40年以上にわたる米・台湾外交の原則を揺るがす発言に対し、台湾外交部は「米国の政策は変わっていないと信じている」という立場を示した。
トランプ大統領は15日、訪中日程を終えて帰国する専用機(エアフォースワン)内での記者会見で、習近平中国国家主席と台湾への武器販売問題について「非常に詳しく協議した」と明らかにした。同日放送されたフォックスニュースとのインタビューでは、台湾への武器販売をまだ承認しておらず「保留中」だとし、「この問題は中国次第だ」、「良い交渉材料だ」と述べ、中国の態度次第では台湾に武器を販売しない可能性もあることを示唆した。
米議会は1月、台湾に対し迎撃ミサイルなどを含む140億ドル(約21兆ウォン)規模の武器販売パッケージを事前承認したが、まだトランプ大統領の最終承認は下りていない。トランプ大統領は同日のインタビューで、「誰かが『米国が支援してくれるから独立しよう』と乗り出すようなことは望んでいない」と述べ、台湾が米国の無条件の支援を期待してはならないという考えも示した。
これに対し、台湾外交部は直ちに声明を出し、「米国の武器販売は、米国内法である台湾関係法(TRA)に明記された厳然たる安全保障上の約束であり、域内の脅威に対する共同の抑止力だ」と強調した。台湾外交部の陳明祺政務次官は、「トランプ大統領やルビオ長官など米国の高官らが、台湾政策に変化がないことを繰り返し強調してきた」と述べた。
台湾問題を中国との交渉テーブルおける「切り札」として持ち出せるというトランプ大統領の発言は、レーガン政権時代から数十年にわたり守られてきた「台湾への武器販売について中国と事前協議を行わない」という内容などを盛り込んだ外交原則(「台湾への六つの保証」)を根本から揺るがすもの。ニューヨーク・タイムズ紙は16日付で、トランプ大統領が台湾への追加武器販売を「良い交渉材料」と述べたことだけでも、台湾への安全保障支援に対する信頼性に疑問を投げかけることになると批判した。
トランプ大統領は、台湾への安全保障支援を台湾の半導体産業と結びつける趣旨の発言も行った。トランプ大統領はフォックスニュースとのインタビューで、「中国は強大な国であり、台湾は小さな島だ。我々と9500マイル(約1万5000キロメートル)も離れている」とし、「台湾にある半導体メーカーがすべて米国に来てくれれば良い」と述べた。武器支援問題をてこに、台湾から見返りを引き出そうとするトランプ大統領特有の取引的思考を露わにした発言といえる。
外交専門家らは、今回の発言の波紋が台湾だけに留まらないと見通した。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)の東アジア担当局長を務めたミラ・ラブフーパー氏は、「適切な見返りさえあれば、いかなる同盟の運命も取引の対象になり得るというシグナルと取られかねない」と指摘した。米メディアのアクシオスも「今回のトランプ大統領の発言は、台湾の親米政権はもちろん、同盟国である日本や韓国をも不安にさせた」と報じた。
トランプ大統領の実際の行動を見守るべきだという指摘もある。スチームソン・センターのマイケル・カニンガム上級研究員は15日のオンラインセミナーで、「もしトランプ大統領が台湾への武器販売を近いうちに承認すれば、台湾の士気を大きく高揚させることになるだろうが、販売が拒否されたり、規模や品目が変更されたりすれば、台湾は大きな打撃を受けるだろう」とし、 「(実際に販売内容が変更されれば)これは習近平主席と実質的に販売に関する交渉が行われたと受け止められる可能性がある」と述べた。
2026/05/17 19:05
https://japan.hani.co.kr/arti/international/56205.html