汚物にGPSかく乱とミサイルで一気に攻勢…金正恩氏、衛星失敗でヒステリーか

投稿者: | 2024年5月30日

北朝鮮が「汚物風船」を韓国に大量に飛ばしたのに続き、30日には東海上に向け短距離弾道ミサイル十数発を発射し連日挑発を継続している。衛星利用測位システム(GPS)かく乱電波送出もこの日明け方まで続いた。軍事偵察衛星打ち上げ失敗で体面を台なしにした北朝鮮が局面転換を狙うと同時に異例に多くの短距離ミサイルを撃って韓国の防空網の弱点を狙うことができる誇示するような武力示威をしたものとみられる。

韓国合同参謀本部はこの日、「午前6時14分、平壌(ピョンヤン)順安(スナン)一帯から東海上に短距離弾道ミサイルと推定される飛行体十数発を捕捉した。ミサイルは350キロメートルほど飛行し東海上に着弾した」と明らかにした。

 韓国の専門家らの反応を総合すると、今回の発射体は北朝鮮が600ミリ超大型放射砲KN25の可能性が大きい。韓国軍の十数発の航跡が似ていることから単一諸元であるとみている。

北朝鮮は3月18日に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が西部地区砲兵射撃を現地指導したと紹介しながら超大型放射砲部隊の一斉射撃を公開した。移動式打ち上げ台から6発の超大型放射砲が同時に発射される場面だった。4月22日にも「核反撃仮想総合戦術訓練を実施した」として超大型放射砲4発の一斉射撃場面を公開した。直接的に首都圏を狙ったものだが、今回もこうした形の武力示威を行ったものとみられる。

◇北朝鮮、汚物風船・GPS・ミサイル混ぜて予行練習

北朝鮮が短距離ミサイル十数発を一気に発射したのも異例だ。これまでの短距離ミサイル挑発は2~6発水準だった。28~29日に汚物風船数百個を韓国に送ったのに続けてミサイル挑発でも「物量攻勢」に出た形だ。軍事挑発にテロ要素を混ぜるのは最近のイスラエルとハマスの戦争などを通じて見られる「ハイブリッド戦」の典型的な方式だ。汚物風船で心理的動揺を誘発し、短距離ミサイルで韓国軍の防空網を狙った格好だ。

北朝鮮が28日午後11時ごろに飛ばし始めた汚物風船は29日午後4時まで続いた。ソウル政府庁舎をはじめとする全国の都心部と民家、学校などに落ち市民の不安を引き起こした。北朝鮮は以前にも対南ビラ風船をたびたび飛ばしていたが1日に数百個を飛ばしたのは初めてだった。北朝鮮は29~30日に韓国側に向けたGPSかく乱電波も4回にわたり発信していたことがわかった。

◇韓国軍「衛星打ち上げ失敗局面転換用」

韓国軍はこれを衛星打ち上げ失敗に対する内部の不満をなだめるため対南攻勢局面に転換するためとみている。これと関連して、合同参謀本部関係者は「北朝鮮が主張する軍事偵察衛星が失敗したことと関連し、北朝鮮の内部的な問題を外部にそらすためのものと評価している」と話した。

金委員長は28日に国防科学院を訪問した席で異例の衛星打ち上げ失敗を認めた。「今回の打ち上げは、第1段エンジンの不具合による自爆システムによって失敗した」としながらだ。続けて「失敗は成功の母」という論理を出してさらなる開発を促したが、自ら提示した重大国防課題に支障が出たことで内部的な打撃は小さくなかったものとみられる。

金委員長が大量破壊兵器(WMD)開発に没頭するのに経済難が深刻になり民心離反が懸念される中で非難の矢を別のところに回す必要があった計算だ。また、金委員長は27日にソウルで開かれた韓日中首脳会議を狙ってこの日深夜に衛星を打ち上げ、3カ国間の協力ムードに冷や水を浴びせようとしたが、2分後に空中爆発した上にむしろ朝中間の亀裂だけ印象付けられ、より直接的で単純明瞭な対南攻勢に選択肢を変更した側面もあるとみられる。

実際に金委員長は北朝鮮の衛星打ち上げに対応した韓国軍当局の空中打撃訓練を問題視して「ヒステリー的狂気」「容赦できない火遊び」などと猛非難した。続けて「圧倒的な断固たる行動で自衛権の行使は確実にしなければならない”と主張した。そして汚物風船と短距離ミサイルなどで公言した行動に出たわけだ。追加挑発の可能性も提起される理由だ。

合同参謀本部が打ち上げ地点を平壌の「順安」と特定したことも注目に値する。北朝鮮が韓国に近い地域でなく平壌順安飛行場などあえて人口密度が高い地域でミサイルを撃ったという意味だからだ。2022年11月に金委員長が娘のジュエ氏を初めて公開したのが順安飛行場だった。大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星17型をここの滑走路で打ち上げた。同年1月にもここから移動式打ち上げ台を使って短距離弾道ミサイル2発を発射している。

元軍関係者は「順安から十数発の短距離ミサイルを発射したのは恐らく住民への宣伝を狙ったもの。衛星打ち上げがうまくいかず、対南用に汚物風船、内部用には短距離ミサイルを持ち出して視線をそらそうとしているもの」と話した。

2024/05/30 16:53
https://japanese.joins.com/JArticle/319340

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