昨年から、在韓米軍のブランソン司令官が韓国政府と対立している。ブランソン司令官は、中国牽制の前哨基地としての韓国の性格を強調したり、戦時作戦統制権(戦作権)の移管について「政治的な便宜主義が条件より優先されてはならない」と述べ、迅速な移管にブレーキをかける立場を示してきた。
同氏は先月22日、「中国が東海岸から眺めると、韓国はアジアの中心部に突き刺さった短剣(dagger)のように見える」と述べた。昨年5月には、「韓国は日本と中国本土の間に浮かぶ島、あるいは固定された空母だ」と語った。
ブランソン司令官は、韓米日が一体となって中国を牽制すべきだという思惑を繰り返し露わにしている。
第27代司令官のブランソン氏は、第8代(1979〜1983年)のウィコム司令官以来、韓国メディアに最も多く登場し、物議を醸す人物となった。
かつてのウィコム司令官は、在任期間中に朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の暗殺、12・12軍事反乱、5・18民主化運動、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権の樹立などを経験した。同氏は1980年8月、ある米メディアのインタビューで、全斗煥大将が大統領になるかもしれないとし、「韓国人はレミング(タビネズミ)のようで、誰が指導者になっても服従するだろうから、民主主義は彼らには適していない」と述べた。この発言は、韓国で本格化した反米運動の引き金となった。
ウィコム司令官がこの発言をすることができたのは、韓国が米国の支援に依存して国防を築いてきたためだ。韓国は1950年代と1960年代、米国の無償軍事援助に依存して国防費を賄い、1970年代以降も米国の軍事的支援が絶対的だった。
ところが、米国の軍事援助は終わって久しいうえ、トランプ政権は「ホルムズ海峡に軍艦を派遣してほしい」と韓国に軍事的な支援を要請したり、資金(在韓米軍防衛費分担金)の増額を求めている。
にもかかわらず、ブランソン司令官はなぜこのような態度を取るのだろうか。
おおむね二つの分析があり得る。まず、物議を醸した発言はすべて場当たり的なものではなく、公の場で準備されたものだ。プランソン司令官は繰り返し、韓国を米国の対中国包囲網における軍事拠点と位置づけている。個人の信念に基づく発言ではなく、韓米同盟の性格を「対中国牽制」に切り替えようとする米国の立場を代弁しているものとみられる。在韓米軍側も突発的な発言ではないと説明している。
こうしたマクロ的な分析に加え、「米陸軍大将ブランソン」が置かれている個人的な状況に注目するミクロ的な分析もある。
ブランソン司令官は、米陸軍第1軍団長(中将)を退任し、大将に昇進した後、バイデン大統領の任期終盤にあたる2024年12月に在韓米軍司令官に任命された。これまで、他の地域で陸軍大将としての最初のポストを経て、2番目のポストとして在韓米軍司令官に任命されるのが慣例だったことを踏まえると、大将に昇進してすぐに在韓米軍司令官となったブランソン氏のケースは異例だった。
これに注目する側は、ブランソン司令官が将軍としての2番目のポストのため、存在感をアピールするため「意欲が先走った」結果、韓国政府と摩擦を生じていると解釈している。米軍は「戦時階級」と「職責階級」の制度を採用しており、星4つの将軍である大将に昇進しても、2番目のポストを与えられなかったり、最初のポストで2年以上勤務できなかったりした場合、大将ではなく中将として退役しなければならない。
ブランソン司令官は、2027年末まで在韓米軍司令官として勤務するか、大将として他のポストに異動できなければ、大将として退役することはできない。
米軍の大将は計44人。黒人のブランソン司令官は、米国民主党政権の主要政策だった「多様性・公平性・包括性(DEI)プログラム」の恩恵を受けて大将に昇進したと言われている。トランプ大統領は14日(現地時間)、「私のリーダーシップの下、我が軍に根付いていたDEIという名の反米イデオロギーは消滅し、陸軍は戦士精神と根性、強靭さを基盤として再建された」と強調した。
在日米軍は約5万5千人で、司令官は空軍中将が務めてきた。
在韓米軍が在日米軍の規模の半分程度である2万8500人であるにもかかわらず、陸軍大将が司令官を務めるのは、朝鮮半島の軍事的緊張が高く、有事には韓国軍の戦作権も行使しなければならないためだ。米軍は在日米軍司令部を「統合軍司令部」に転換する案を推進している。今後、在韓米軍の陸軍兵力が減少し、韓国に戦作権が移管されれば、役割が縮小された在韓米軍司令官が中将、在日米軍司令官が大将に変わる可能性もある。この場合、米陸軍の立場からは大将のポストが一つ減ることになる。
こうした点に注目する側は、ブランソン司令官が戦作権の迅速な移管に否定的であり、在韓米軍の存在感を強調する背景には、「肩身の狭い」個人的な立場と米陸軍の利害関係が潜んでいるとみている。
2026/06/28 19:18
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