米国とイランの戦争で最大の勝者が中国という分析が出ている。世界経済が大きな打撃を受ける中でも中国は直接被害が少なく、ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー・供給網危機はむしろ中国の産業競争力を浮上させる契機になったためだ。
カート・キャンベル元米国務副長官は30日、日本経済新聞とのインタビューで、イラン戦争により石油と天然ガスの供給が中断されエネルギー安全保障の重要性が大きくなったとし、最も大きな影響を受けたのはインド太平洋地域だと指摘した。
その上で、中国が米国とイランの衝突の勝者の1人だと評価した。キャンベル元副長官は、中国はエネルギー調達と備蓄の両方で余力がある。世界経済の不安定の嵐に耐えるのに最も成功している国」と話した。
キャンベル元副長官が会長を務めるコンサルティング会社アジアグループもこの日発表した報告書で中国が石油と天然ガスを大規模に備蓄し、クリーンエネルギー供給が豊富で最悪の危機を避けることができたと評価した。その上で中国政府は輸出統制と補助金、為替相場管理などで経済的衝撃を吸収する能力を立証したと付け加えた。
中国はイラン戦争が発生すると備蓄原油を積極的に使い、石油精製企業に輸出規制と生産統制を実施して国際原油価格上昇による市場への影響を最小化したとの評価を受ける。原子力、太陽光、風力など非化石原料エネルギーの活用度が高いのも衝撃吸収の要因のひとつに選ばれた。
むしろ今回の危機は中国の産業競争力を世界に知らせる契機になった。石油と天然ガス依存に対する懸念が大きくなるにつれ、太陽光パネル、バッテリー、電気自動車技術などに対する世界的な需要が大きくなってだ。いずれも中国が世界市場を掌握している分野だ。
伝統製造業でも中国の重要性が浮上する見通しだ。中国の代替とされた地域がエネルギー危機で弱点を露出したためだ。インドでは肥料、燃料、食品価格の上昇で政府に対する反発が大きくなっている。フィリピンでもストが発生しエネルギー非常事態が宣言された。インドネシアでは硫酸不足でニッケル生産企業などが生産量を減らした。
これは世界的企業の「脱中国」の歩みにブレーキをかけかねない。アジアグループは「エネルギーを全量輸入する国が大部分である東南アジア各国政府は(エネルギー危機の中で)経済を保護するため緊急融資と補助金拡大に依存している。エネルギー危機は東南アジアの製造業競争力に対する認識を弱め、企業が中国に工場を移転する傾向を鈍化させるだろう」と分析した。その上で、中東危機を契機に中国が国際社会で「安定した経済パートナー」というイメージを強化したと評価した。
中国周辺の米国の軍事力が弱まったことも中国が得た利点に挙げられる。キャンベル元副長官は「米国はミサイル、戦闘機、兵力などをインド太平洋に移動させてきたが(イラン戦争で)再び中東に戻った。これを短期間でもとの地域に復帰させるのは難しい」と話した。その上で「トランプ米大統領の台湾政策がまだ形成過程の上にトランプ大統領の態度もやはりやや中国側に傾いている点をアジアが大きく懸念している」と付け加えた。
米国経済も戦争から自由でない。世界最大の原油生産国でホルムズ海峡封鎖によるエネルギー供給の影響は比較的少なかったかもしれないが、供給網危機は避けられないからだ。アジアグループは「今回の危機は人工知能(AI)などの分野で米国に否定的な結果を招くことになる」と予想する。データセンター建設に必要な半導体、変圧器、銅などの供給をアジアに依存するが、これらの供給網が今回の戦争で揺らいでいる。
2026/06/30 17:57
https://japanese.joins.com/JArticle/351333