【コラム】韓国サッカー、会長を直接投票で選出すれば強くなるのか

投稿者: | 2026年7月9日

韓国代表が北中米ワールドカップ(W杯)32強トーナメント進出を逃したことで、政府が国家正常化の課題として掲げるサッカー協会刷新の議論が急ピッチで進んでいる。その骨子は「会長選挙直接投票制」だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領もSNSを通じて直接投票制の導入に支持を表明した。これを受け、文化体育観光部が主導する「Kサッカー刷新委員会」はサッカー協会のガバナンスについて集中的に議論していて、大韓体育会も定款の改定を進める。

直接投票制はこれまで体育団体を掌握してきた既得権益の構造を打破し、人的刷新をするための有効なカードになり得る。しかし問題点も多い。大韓体育会は10万人規模での直接投票制の導入を検討しているが、選挙費用だけで約50億ウォン(約5億4000万円)にのぼる見込みだ。サッカー協会の登録会員は生活体育(アマチュア・生涯スポーツ)を合わせると15万人にのぼるため、投票権を付与する対象を絞り込まなければならないが、どのような基準を設けても論争を避けるのは難しい。

 選挙管理委員会を組織する予算や、全国各地に投票所を設置する予算があるのかも疑問だ。サッカー協会の関係者は「1、2回は政府が支援してくれるかもしれないが、将来的には協会の負担になるはず」とし「投票者名簿の作成や投開票の実務をどうすればよいのか分からない」と話した。

ただでさえ不正選挙陰謀説が横行する時期だ。派閥が多いサッカー界に直接投票制という起爆剤まで投入すれば、どのような事態を招くか予測がつかない。電子投票も代案にはならない。国際サッカー連盟(FIFA)が電子投票そのものを禁止しているからだ。仮に認められたとしても、上意下達の文化が根強いスポーツ界の特性上、監督や先輩が特定候補への支持を強要する可能性が極めて高い。

以前の執行部の失策を正そうという政府の問題意識には共感する。とはいえ直接投票制が正解とは言えない。むしろ混乱を招くおそれがあり、宣伝や扇動、ポピュリズムが懸念される。世界中の体育団体が間接投票制を採用している理由ももう一度考える必要がある。専門性や代表性、コスト削減と効率性の面でメリットがあるうえ、直接投票制による派閥の弊害を回避できるからだ。国内の体育界は特に学閥・地縁・所属チームによって派閥が形成されやすい構造にある。

政府が望む特定の人物をサッカー協会に据えようという意図でなければ、あえてこうした無理をする理由はない。今回のW杯のベスト8進出国のうち協会長を直接投票制で選出している国は一つもない。目を引くほど強くなっている日本も協会長は80人前後の評議員会による選挙で選出している。

会長を直接投票で選出したからといってサッカーが強くなるわけではない。刷新委員会が選挙制度にこだわるあまり本質を見失ったまま拙速に終わるのではないか、今回のW杯で「洪明甫(ホン・ミョンボ)号」を眺めた心情で見守ることになりそうだ。

イ・ヘジュン/スポーツ部記?

2026/07/09 15:40
https://japanese.joins.com/JArticle/351779

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