また、東アジア特有の儒教的製造能力は「コストパフォーマンス」を失いつつある。2022年の合計特殊出生率は台湾が0.87、韓国が0.78で、台湾もやはり少子化が深刻だ。人材が不足するだけでなく、転職せず長時間勤務に耐える文化も薄まっている。
◇台湾と日本、絶好の相性というには少し足りない
台湾と日本は「半導体蜜月」の最中だ。日本政府が投資金額の半分に当たる4760億円を支援したTSMC熊本第1工場に続き、補助金7300億円をさらに投じる第2工場も計画中だ。「製造の台湾」と「素材の日本」が絶好の相性であることは事実だが、2カ国だけでは超えにくい障壁もある。
まずしばらく人材養成が途絶えていた日本の半導体産業には先端工程に投じるエンジニアがいない。現在の人材はほとんどが50代以上だ。東京大学先端科学技術研究センターの井形彬氏は「(日本の半導体産業に)投入される資金と実際に活用できる人材の格差がとても大きい」と話す。
微細工程である半導体の特性上、地震などでラインが中断されれば損失が莫大だが、日本は台湾よりも自然災害に弱い点も問題だ。日本は2016年の熊本地震と2022年の東北地震でそれぞれソニーとルネサスの半導体工場が操業を停止し、台湾も2016年の高雄地震と最近の花蓮地震でTSMC工場が稼動を中断した。
また、日本は韓国や台湾のような地理的集積効果が落ちる。主要半導体企業が最北端の北海道から最南端の九州まで散らばっているためだ。
◇サムスンとTSMCは出会えるか
半導体は韓国と台湾の主力産業で、サムスンやTSMCのような企業は少し動くだけでも「根っこを引き抜くのか」との声が出る。しかしもうこれら企業は自国中心から抜け出して視野を広げなければならない岐路に立った。
台湾と日本とも少子化で海外人材活用とデジタル転換が急務だが、これらの国の国際化とデジタル化は韓国には及ばない。楊教授は「台湾企業はまだ海外人材のまともな活用の仕方がわからず、低賃金労働力を投じる水準」と話した。また「日本はソフトウエアとユーザーエクスペリエンス、デジタルマインドが弱い」と話した。『半導体三国志』の著者である成均館(ソンギュングァン)大学化学工学部のクォン・ソクチュン教授は「台湾産業界と交流してみると、彼らは韓国の通信、量子コンピュータ、AI分野の先進性を認めて協力を望んでいる」と話す。
両国の文化的接点は有利な要素だ。世界にTSMCを呼び込む所は多い。しかしフォーラムで台湾国家科学技術委員会の呉政忠主任委員ら台湾側演説者は「同じ考えを持っている国同士の協力」を強調した。台湾の外に必ず出て行くべきならば、体制や文化に同質性がある日本と韓国をまず考慮するという話だ。
もし、韓国と台湾が協力するならば出発はどこだろうか。専門家らはAI半導体部門の研究開発だろうと予想する。欧州の研究開発拠点であるIMECと類似のアジア版IMECの設立も提示される。クォン教授はフォーラムで「韓国・台湾・日本が開放型研究開発プラットフォームを作らなければならない。TSMC、サムスン、SKハイニックスなどの企業と大学、国立研究所などが参加する研究開発協力体」を提案した。ベルギー、フランス、オランダの3カ国が設立した欧州総合半導体研究所のIMECはASMLの次世代極端紫外線露光装備開発とテストを専門に担当する。このように3カ国が新しいAIメモリー半導体などで標準を作り先導しなければならないということだ。
2024/04/30 09:16
https://japanese.joins.com/JArticle/318044