北朝鮮でも陰暦の1月1日の旧正月は代表的な民族名節(ミョンジョル)だ。今年の北朝鮮のカレンダーは旧正月当日の1月29日を休日として表記している。北朝鮮は韓国と違い、旧正月と秋夕(チュソク、中秋)だけでなく、正月デボルム(小正月、陰暦1月15日)と端午(陰暦5月5日)も休日に指定している。
北朝鮮で民俗名節は1960年代初期から本格化した「唯一思想体系」確立により封建の残滓や古い遺物として排斥されながら消えた。その後、当局が1972年の秋夕を迎えて墓参りを認め、部分的に復活した。これには在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)をはじめとする海外同胞を対象に進めた故郷訪問事業が影響を及ぼしたという。
北朝鮮は1988年に「秋夕」名節を認めたのに続き、1989年に「旧正月」「寒食」「端午」などの民俗名節を復活させた。その後、北朝鮮は数百万人の餓死をもたらした1990年代のいわゆる「苦難の行軍」を経て、民俗名節を内部の社会・経済的危機を克服して体制を結束する道具として活用する傾向を見せた。
1歳年を取る新年を迎えて新たな気持ちで出発するという意味でトック(雑煮)を食べ、先祖や親しい大人にあいさつをするのは韓国と似ている。韓国統一部によると、北朝鮮の住民はほとんど陽暦の正月に茶礼(チャレ)と歳拝(セベ、新年のあいさつ)をするという。家庭によって旧正月に茶礼と歳拝をするところもあるという。
また携帯電話の使用が普遍化し、旧正月にメッセージで新年のあいさつをする姿が見られるのも韓国と似た風景だ。封建的な社会の雰囲気のため名節の準備をする女性のストレスも韓国とそれほど変わらないという。2018年に脱北した女性キムさんは「北ではほとんどの女性が名節の準備をする」とし「名節の飲食の準備して客をもてなすため、姑と嫁の間で葛藤が生じたり嫁がストレスを受けたりもする」と話した。
ただ、北朝鮮では苦難の行軍を経て、旧正月にトックを食べる風習が少しずつ消えているという話も聞こえる。生活が厳しい場合はご飯にスープをかけて食べる「温飯」や、手に入りやすい食材料を利用して料理をすることも多いというのが脱北者の説明だ。
住民は名節を迎えて凧あげ、コマ回し、ノルティギ(板跳び)、チェギチャギ(羽根蹴り)などの伝統の遊びを楽しむ。テレビ中継される闘牛・シルム(相撲)のような民俗競技を視聴したりもする。特に名節に中国やロシアなどで製作された映画をダビングして放映する特選映画放送は住民に人気がある。
居住・移動の自由がないため帰省文化がない点は韓国との大きな違いだ。韓国定着初期の名節の雰囲気について脱北者のキムさんは「周囲の人に贈り物をしたり故郷を訪れたりする姿は北と異なり慣れなかった」と話した。
2025/01/28 08:12
https://japanese.joins.com/JArticle/329139