トランプショック、専門家が見た韓国の戦略(2)

投稿者: | 2025年3月9日

◇チョ・ビョンジェ元国立外交院長

チョ・ビョンジェ元院長は6日、電話インタビューで、「米国から安全保障を拒絶されたウクライナとゼレンスキー大統領の立場は十分に理解するが、もう少し戦略的にアプローチするべきだった。韓国もさらに用意周到な交渉戦略を立てる必要がある」と話した。

 ――今回の首脳会談決裂に対する評価は。

「トランプ大統領は昨年の大統領選挙で『米国の外交安全保障政策が目標と手段を調和できるように大転換する』という公約を掲げた。彼の目標は70年以上担ってきた世界の警察の役割をやめるということで、手段は米国経済を再び強くさせるために製造業などを復活させるというものだ。トランプ大統領が就任後に見せた対外政策はこの2つの原則で説明できる。今回のウクライナ終戦交渉も同じだ。首脳会談でゼレンスキー大統領が要求したのは安全保障だったが、トランプ大統領の立場では受け入れ難い条件だった。警察国家をあきらめるとすでに公言したのにどうして受け入れることができようか。ゼレンスキー大統領は交渉の目標を別に設定するべきだった」

――どのようにすべきだったか。

「鉱物協定でもう少しウクライナ側に有利な条件を貫徹させることが現実的に可能な目標だったと考える」

――今回の首脳会談を通じてトランプ大統領の首脳外交戦略がそのままあらわれた。意図的シナリオと考えるか。

「トランプ大統領らが意図的に作ったのかはわからない。首脳会談後に米国メディアでは2つのポイントが浮上した。鉱物協定を協議する過程でゼレンスキー大統領が2回も米国に対し公開的な批判をし、ゼレンスキー大統領にホワイトハウス訪問前にスーツ姿を要請した点だ。ゼレンスキー大統領が最後までスーツを着なかったことがトランプ大統領を不快にさせたかも知れない。ゼレンスキー大統領が難癖をつけられたもので外交ではこれもまた重要だ」

――終戦交渉はどのように進められるとみるか。

「すでに大きな枠組みは作られている。ウクライナがロシアの占領地を取り戻したり北大西洋条約機構(NATO)加盟を勝ち取るのは厳しいだろう。現時点で米国の軍事的安全保障も可能でない。ウクライナとしては鉱物協定の条件を改善し、米国の間接的な安全保障を確保することが最善だろう。今回の事態を契機に欧州も米国に依存した安全保障体制を変えていくだろう。ここにはドイツの再武装、欧州とロシアの関係改善という問題が後に続くとみる」

――トランプ大統領が欧州の同盟に背を向けることを甘受しながらもロシアとの関係改善に出ものとみるか。

「始めてしまえば半分終わったも同じという言葉がある。トランプ大統領は2月中旬にロシアのプーチン大統領と電話会談したことですでに米ロが関係改善に方向を転換したと考えるだろう。今後欧州は自らの能力強化に出るため米国は次第にインド太平洋地域に自国の能力を集中しようとするものとみられる」

――トランプ大統領がウクライナ方式で、韓国を排除(コリアパッシング)しながら北朝鮮との対話も協議に入るだろうか。

「現在までそうする理由はないようにみえる。ウクライナ戦争の場合、早く決着をつけることがトランプ大統領に有利だ。それでこそロシアとの関係改善ができ、中国牽制に集中できるためだ。北朝鮮問題はウクライナ問題が解決されてから検討されるだろう」

――韓国では核保有論が再びふくらんでいる。

「トランプ政権が『米国が韓国防衛のためにニューヨークを犠牲にするだろうか』という質問に『はい』と答えるのは難しいだろう。したがって朝米が北朝鮮の完全な非核化を後回しにして大陸間弾道ミサイル(ICBM)の対米威嚇を除去する交渉をする可能性もある。こうした場合、韓国と日本は北朝鮮の短距離核の脅威に置かれ続けることになる。これに対する対応手段を探すことが必要だ」

――トランプ発のアラスカガス管事業、CHIPS法廃止、関税戦争などにはどのように対処すべきか。

「アラスカガス管事業は米国が初期費用をどれだけ負担するかが重要だ。また、環境問題など事業の持続可能性の有無を綿密に検討して決めることが必要だ。トランプ大統領がCHIPS法を廃止してサムスン電子やSKハイニックスが補助金を受けられなくなるならばこれは契約を破るもので信義をなくさせる行為だ。韓国が米国より4倍も高い関税率を適用するという主張は事実でない。交渉する時にこの点を正さなければならない」。

2025/03/09 11:54
https://japanese.joins.com/JArticle/330874

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