トランプショック、専門家が見た韓国の戦略(1)

投稿者: | 2025年3月9日

「トランプショック」が一波万波に広がっている。トランプ米大統領は先月28日にウクライナのゼレンスキー大統領との会談を口論の末に早期終了したのに続き、北大西洋条約機構(NATO)脱退、欧州と日本の防衛費引き上げなどを主張して同盟国を緊張させている。韓国も例外ではない。彼は4日の議会演説で「われわれは韓国を軍事的にたくさん助けているのに韓国の平均関税は4倍高い」と攻撃した。韓国にも「請求書」が到着することを知らせた形だ。これから韓国は何を準備しなければならないだろうか。青瓦台外交安保首席秘書官を務めた千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長と、韓米防衛費分担交渉代表を務めたチョ・ビョンジェ元国立外交院長に尋ねた。

◇千英宇韓半島未来フォーラム理事長

 千英宇理事長は6日、電話インタビューで「米国がかゆいところ(中国)をかいて交渉力を育てなければならない」と話した。

――トランプ大統領がゼレンスキー大統領と衝突したがその意図は何か。

「いまトランプ大統領が明確な戦略を持って動いているのかは疑わしい。ある人は中国を牽制してロシアを利用しようという意図だというが、そうだとしても成功すると思えない」

――なぜそうなのだろうか。

「過去のヘンリー・キッシンジャーの構想と反対に、ロシアと中国のデカップリングを通じて中国を牽制しようという戦略的計算があるものというが、それが通じるほどいまの中国とロシアの関係は粗末なものではない。彼らはむしろ米国をどのように牽制するかに関心が多いだろう。逆にプーチン大統領に利用される公算が大きいとみる」

――ひとまずウクライナ戦争は終戦交渉に近づいたのではないのか。

「今回の首脳会談でさらに難しくなったと考える。ウクライナの立場が弱まれば休戦は早くなりそうだが、ロシアはむしろ協議に入るインセンティブが消えることになりかねない。交渉する前に米国がすべて渡したためにロシアは譲歩することがなかった。無条件降伏を主張できる。それではウクライナも受け入れ難くなる。米国がとても急いで終戦をさらに難しくさせかねない」

――ウクライナがまだ持ちこたえられるだろうか。

「欧州が米国の空白をどれだけ埋められるかにかかっていているはずだが、今後1年ほどは持ちこたえられるとみる。この3年間でウクライナの武器生産能力が大きく向上した。独自に生産する軍需品の割合が2023年の18%から昨年は41%に上がった。また、米国はウクライナを譲り渡しても関係ないが欧州はそうではない。いま欧州は自主的にウクライナの安全保障を提供するから米国が保証だけしてほしいという程度に積極的だ。ウクライナ世論も抗戦意志がとても強い。トランプ大統領の構想通りに流れはしないようだ」

――実際に英国やフランスなど欧州各国が武装強化に出ており、韓国の防衛産業企業には機会になるだろうという分析もある。

「期待ほどではない。ポーランドのように防衛産業が弱い国は韓国を求めるかもしれない。ドイツ、英国、フランスなどは違う。2008年の金融危機後に国防予算を減らしたものだがこれ以上は難しくなった。これらが防衛産業に本格的に参入すれば韓国よりさらに重要な役割をするだろう」

――今後朝米対話再開はどのように予想するか。今回の会談を見て「コリアパッシング」を懸念する声もある。

「朝米対話再開は容易でない。ひとまず金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は大きな関心はないだろう。2018年には米国の制裁解除がなければ生き残る道が見通せなかった。だがいまはロシアとの同盟を通じて多くの問題が解決された。もちろん制裁が解除されれば良いが、過去ほど切迫した状況ではない。特に核を放棄する必要はないので以前より米国に多くの譲歩を要求するだろう。トランプ大統領の立場では2018年より悪い条件でディールをすることはできない」

――トランプ大統領が韓国の関税問題を指摘した。今後防衛費交渉などでどのように対処すべきだろうか。

「トランプ大統領は第1次政権当時に防衛費をまともに受け取れなかったと悔しがる。言われるままに与えることはできないから備えをしなければならない。例えば韓国が先に防衛費を現在のGDPの2.8%から3%台に増やすと言えば、トランプ大統領の立場では『韓国を見ろ』といいながら欧州や日本を圧迫するカードとなる。また、米国が中国を牽制するには軍艦建造能力が必須だが、韓国の助けがなくては難しい。米国のかゆいところをかいて交渉力を高めなければならない」

――トランプ大統領は韓米合同訓練も「高い」という立場だ。

「中国を牽制する力は韓米連合防衛能力にある。合同訓練がなくなれば中国牽制の役に立たない無力な同盟になる。これを教えなければならない。いまはどれだけ北朝鮮の話をしてみても米国は関心がない。韓国は中国と正面から向き合っているということがウクライナと違う。これを活用しなければならない」

――韓国では核武装や戦術核再配備の声も出ている。

「韓国がいま20基を超える原子力発電所を持っているためエネルギー安全保障次元でウランの独自濃縮が必要だとアプローチしなければならない。北朝鮮などを牽制するために核潜在力を確保するといえば周辺国が警戒するので難しくなる」。

2025/03/09 11:54
https://japanese.joins.com/JArticle/330873

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