関税戦争とダンピング攻勢に対応…韓国も「貿易保護壁」高める

投稿者: | 2025年3月12日

強まる貿易戦争の荒波に対応するため韓国政府が保護障壁をさらに高く積み上げた。不公正貿易行為を監視し告発する貿易委員会を拡大改編し調査レベルを高めることにした。トランプ大統領発の関税戦争と中国の全方向ダンピング攻勢に対抗する次元だ。

韓国政府は11日、こうした内容の貿易委員会職制一部改正令案を閣議で議決し、18日から施行することにした。産業通商資源部傘下の貿易委員会にダンピング調査支援課と判定支援課を新設し、人員をこれまでの4課43人から6課59人に16人増やすことが骨子だ。これは1995年1月の世界貿易機関(WTO)発足に備えて組織した5課52人を超える過去最大規模だ。合わせて▽調査技法高度化▽迂回ダンピング防止制度▽補助金調査と相殺関税賦課基盤構築――なども今回の組織改編を通じて推進する。

 産業通商資源部は「世界的な供給過剰にともなう低価格製品の国内流入拡散などから韓国の産業を保護し、通商防衛機能を大幅に強化するための措置」と説明した。特定の国には言及していないが、中国の低価格物量攻勢に対応するための措置とみられる。

昨年貿易委員会に寄せられたダンピング調査申請は10件だったが、このうち8件で中国製品が含まれた。中国製品が市場にあふれ規制当局に被害を訴える企業が大きく増えた。貿易委員会は4日に中国製と日本製の鉄鋼熱延製品に対するダンピング調査を開始した。1月には中国製ステンレススチール厚板、2月には中国製熱延厚板に対するダンピング仮判定を下した。

トランプ米大統領が触発した米中貿易紛争が本格化し、中国のダンピング攻勢がさらに強まるだろうという観測が出ている。米国輸出の道が閉ざされた中国製品が韓国を含む他の国にあふれるかねないためだ。各国で中国のダンピングに対する調査を強化する動きが現れる理由だ。

中国貿易救済情報網(CTRI)の統計を見ると、昨年中国からの輸入品を対象にした各国の貿易規制調査件数は反ダンピング156件を含め198件と集計された。2023年の87件と比べ2倍近く増加した。

韓国貿易協会によると、昨年1~11月の欧州連合(EU)の新規輸入規制(反ダンピング、相殺関税)調査開始件数は18件で、2013年以降で最も多かった。このうち15件が中国を対象にしたものだった。EUは最近中国製鉄鋼製品3種に対する反ダンピング調査を開始し、中国製冷延鋼鈑に対しては臨時反ダンピング措置を実施することにした。

メキシコ政府は6日に米国製と中国製の一部アルミニウム製品の低価格供給にともなう自国の産業への被害の有無を確認するためのダンピング調査に着手することにした。マレーシアも最近中国などから輸入する亜鉛めっき合金と非合金鋼板輸入品に対する反ダンピング関税調査を始めると明らかにした。インドもやはり中国製鉄鋼製品を狙って15~25%の関税を課すセーフガード措置を議論している。

中国は各国のこうした反ダンピング措置に対し報復関税賦課のような積極的な対応をまだしていない。反ダンピング調査と関税賦課自体がWTOの反ダンピング協定に基づく合法的措置のためだ。西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「中国のダンピング攻勢が数年間続いてきたが、これまで韓国政府では『貿易相手国を刺激しないようにしよう』という基調が強かったのが事実。各国が保護貿易主義を強化する傾向に合わせて貿易委員会の機能を補強したのは適切な措置」と話した。

2025/03/12 08:22
https://japanese.joins.com/JArticle/331017

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