超高速超高齢化、静かな高齢者の国韓国(1)

投稿者: | 2025年3月30日

「ここでは60代なら青年だ、青年」。

全羅南道高興郡登岩(チョンラナムド・コフングン・トゥンアム)の老人会館には4つの部屋がある。そのうち本館2階にある部屋をここの高齢者らは「青年の部屋」と呼ぶ。80代が集まる1階の部屋で17日に会ったソン・チュンサム婦女会長(82)は「60代は若いから別の部屋を使います。90歳以上も別に集まるが、そのぐらいになってこそ年を取ったと言える」と微笑を浮かべた。

 昨年韓国17の市と道のうち高齢人口の割合1位は27.4%である全羅南道だ。その中でも高興郡は44.3%と全羅南道で最も高い。全住民のうち実に半分近くが65歳以上の高齢層ということだ。韓国229の市郡区のうち100歳以上の人口が最も多いのも高興郡で78人だ。崇実(スンシル)大学社会福祉学科のホ・ジュンス教授は「すでに超高齢社会の真ん中に位置する高興は近く韓国社会全般に迫ってくる『高齢者半数時代』の社会像をあらかじめ類推できる所。これら地域のデータと対応ノウハウなどをきちんと蓄積していき未来に押し寄せてくる汎社会的衝撃に備える必要がある」と話した。

韓国は昨年12月に65歳以上の高齢人口が全国民の20%を超える超高齢社会に入った。2017年に14%以上である高齢社会になってから7年ぶりで、当初韓国政府が予測した2026年より3年も早かった。高齢化傾向が急な日本も10年かかった点に照らしてみると類例のない速いスピードで進む高齢化に対する官民次元の対策が至急だという声が大きくなっている。

◇「私が死ねばこの店も終わり」在来市場の70代がため息

「超高齢社会は農村だけの問題ではない。10年後にはソウルなど大都市でも同じ現象が発生する可能性が大きい」。

超高齢社会に入って3カ月を過ぎて訪ねた全羅南道高興は専門家らのこうした懸念を反映するかのように若年層の持続的な減少、高齢者の孤独死と雇用問題、これを解決するための自治体の悩みなどが近い将来韓国社会全般に広がる超高齢社会の姿を含蓄的に見せていた。3月中旬に時ならぬ大雪が降った18日、腰を曲げながら雪かきをしていた80代のパクさんも「青年が少ないから今回のように道路が埋まると確実に対処する方法がない」としてため息をついた。

高興の伝統市場で食材を売る70代のチョン・ホニョンさんは「私が死ねば30年以上守ってきたこの店も終わり。息子も高興にきて暮らしたいというが若い人たちが働いて暮らしていける環境がないので…」と話す。その上で「最近になって軍でもドローン祭りなど週末ごとに各種イベントを開いているが、こうしたものがうまくいけば若者もたくさん訪れないだろうか」と期待感を示した。実際に高興郡は超高齢社会を迎えて若い世代の流入を誘導するために管内の羅老(ナロ)宇宙センターと連係したドローン産業育成と大規模農水畜産スマートファームマ革新バレー造成など未来戦略産業誘致に総力を挙げている。

それでも住民らは「いまでこそ高齢者同士が頼って過ごし軍でもさまざまな支援をしてくれそれなりに暮らしていけるが未来が心配」と声をそろえる。登岩老人会長のミョン・ドンマンさん(86)は「講師が老人会館に定期的に来て運動も教えてくれ伝統もち作りなど週に4日は多様なプログラムが行われている。それでも高齢化が深刻化し年を経るごとに町内の活力が落ちているのが目に見えるほど」と懸念する。横にいた同い年のシン・チェギュンさんも「年を取って体の悪い部分が増えるが病院に行くのもますますしんどくなるのでみんな心配が大きい」と話したた。

◇高興郡、ドローン産業とスマートファームの育成に心血

シンさんの話のように健康と医療対策は高齢層の最大の懸案で関心事だが、現実は決して容易ではない。高興郡民が頻繁に訪れる高興総合病院も高齢化が進むほど悩みが深まっていた。高興総合病院のチャ・ジュフン総務課長は「高齢者専門療養病院もともに運営中で高齢者の訪問が増加しているが医師が大きく不足しているのが実情。あちこちつてを頼って探しているが、いくらお金を出すと言っても来てくれる医師を見つけるのは容易でない」と打ち明けた。彼は「こうした問題は単に高興だけの問題でなく、近く韓国社会全般に広がることだけに、手遅れになる前に対策を用意しなければならない」と話した。

2025/03/30 11:20
https://japanese.joins.com/JArticle/331895

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)