朝鮮総連に奨学金を送った金正恩委員長…「二つの国家論、世代交代を念頭に置いた布石」

投稿者: | 2025年4月14日

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が金日成(キム・イルソン)主席生誕(4月15日、太陽節)113周年を迎え、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に2億8702万円の奨学金を送った。金正恩委員長が南北関係を「敵対的な二つの国家」と規定し、統一・民族概念を消そうとすることに混乱して反発の気流を見せた朝鮮総連を、依然として勢力圏に置くための布石という分析が出ている。

労働新聞は14日、金正恩委員長が「在日同胞の子どもの民主主義的民族教育のために教育援助費と奨学金を送った」と報じた。同紙は金日成主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記、金正恩委員長がこれまで在日同胞の子どもに送った教育援助費と奨学金は計171回で総額499億8859万390円と伝えた。

 専門家らは特に、北朝鮮メディアが金正恩委員長の奨学金伝達を知らせながら「民族教育」に言及した点に注目した。韓国側に断絶を宣言しながらも、民族を媒介に朝鮮総連との連帯強化および支持を誘導したという点でだ。慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「朝鮮総連に向けて民族という概念を強調し、『敵対的な二つの国家』宣言によるアイデンティティの混乱を遮断しようという布石とみられる」と話した。

実際、北朝鮮は金正恩委員長の「敵対的な二つの国家論」に対南政策基調を変更して以降、朝鮮総連との意思疎通と協力により一層注力してきた。昨年8月、朝鮮総連傘下の日本朝鮮大学校の学生約50人を平壌(ピョンヤン)に招待し、9月には2019年以来およそ5年ぶりに朝鮮総連代表団の訪朝を推進した。金正恩委員長は1月、新年公演に参加した在日朝鮮学生少年芸術団を自身の執務室がある労働党中央委本部庁舎に招待して会い、記念写真を撮影した。朝鮮総連の主流が「MZ世代」に変わっている現状況も、北朝鮮のこのような動きに影響を及ぼしたとみられる。

朝鮮総連1、2世代までは資本主義化された日本に住みながらも北朝鮮(祖国)に対する忠誠心が強かったが、MZ世代に入ってからこうした凝集力が急激に弱まっているからだ。イム・ウルチュル教授は「金正恩委員長の立場では自分たちの勢力圏維持のために朝鮮総連の忠誠心と支持が重要であるため、若い世代の歓心を買うために注力するしかない状況」と説明した。

これに先立ち金正恩委員長は2023年末の労働党全員会議で、南北関係を「もう同族関係、同質関係でなく敵対的な二つの国家関係」と宣言した。その後、対南機構をすべて廃止し、昨年下半期からは「永久的な国境遮断」のために韓国側と連結した道路・鉄道を断ち、軍事境界線(MDL)一帯で「要塞化工事」を進めている。

2025/04/14 14:36
https://japanese.joins.com/JArticle/332509

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