「ディアメリカナイゼーション(De-Americanization、脱米国化)が本格化している」
米国のドナルド・トランプ大統領が自国の製造業の雇用回復を名目に押し付けている関税政策が、戦略的でなく即興的だとする評価のもとで、市場の信頼を失いつつある。ウォール・ストリート・ジャーナルは先週、株式・債券・ドルの米国の3大資産の同時下落について、「構造的な信頼低下の兆候」だとして、「脱米国化」を警告した。さらに、「市場の信頼喪失は大統領職にとって致命的になりうる」と指摘した。
2日(現地時間)の相互関税の発表後、連日予測不可能な動きを続けているトランプ大統領は、13日夕方に「半導体関税を来週発表する」と明らかにして、「iPhoneに対する関税」について「柔軟さを示すべき」だと述べた。この日の昼には「スマートフォンに対する関税は免除されたのではなく、半導体と合わせて課税されることになる」としていた自身の発言を否定するかのようなニュアンスだった。
ノーベル賞受賞者であるマサチューセッツ工科大学経済学部のサイモン・ジョンソン教授は、ニューヨーク・タイムズに「市場が最も不安を感じるのは、関税構造の非論理性と任意性」だとしたうえで、「政策決定者は、自分たちが何をしているのかすら分からず、まったく神経も使わないようにみえる」と批判した。中国製の「おもちゃ」に145%の関税が課される反面、「国家安全保障のうえで重要だ」とする鉄鋼・アルミニウム・自動車などに課税される品目別関税は25%しかなく、貿易赤字が問題だとしながらも、貿易黒字である国にも10%の関税を課すなど、政策に論理的一貫性がなく、信頼するのが困難だという意味だ。
市場の忍耐心はすっかり失われてしまっている。投資家たちは先週から米国を離れ始めた。株式と国債、ドルの3大資産が同時に下落した。ウォール・ストリート・ジャーナルは「最近の資産価値の下落は、単なる変動性ではなく、構造的な信頼低下を反映している」と分析した。ブラウン大学の政治経済学者であるマーク・ブリス教授は、ニューヨーク・タイムズに「合衆国政府が方向を失ったと全世界が感じている」として、「米国債はいかなるニュースでも揺らがなかった投資先だったが、いまや市場の恐怖によって売却される『リスク資産』に転落した」と述べた。この数日間で米国債が大量に売却され、10年物国債の利回りは4%から4.5%の水準に急上昇したが、これは、過去25年間で最も急激な上昇の勢いだった。
トランプ大統領の関税政策によって、米国の製造業は、回復どころか混乱に陥っている。特に、関税政策の度重なる変更と予告なしの撤回が、海外取引先の信頼を落としている。カリフォルニア州サンタクルーズでオーダーメードの自転車を生産するロック・ロブスター・サイクルズのポール・サドフ代表は、ワシントン・ポストに「日本やオーストラリア、カナダの顧客が『来週にまた変わる可能性がある』と考え、注文を迷っている」として、「すべてが停止した感じ」だと述べた。ハワイ産のコナコーヒーを輸出してきたライオンズ・ゲート農場のスザンヌ・シュライナー代表も「20年間、国際市場で事業を行ってきたが、今では市場が閉じられているのを感じている」として、カナダと日本の消費者が注文を再考していると述べた。
145%に達する中国に対する関税は、中小企業にとっては直撃弾だ。米国衣類・靴協会(AAFA)のスチーブン・ラマル代表は「高い関税と突然の政策変化が、コロナ禍後で最も深刻なサプライチェーンの混乱を招いている」として、「関税がきわめて高く、企業は注文を取り消さざるをえない」と述べた。CNBCは、関税のために運賃が支払われずに放置された海上貨物と航空貨物もますます増えていると報じた。
2025/04/14 21:57
https://japan.hani.co.kr/arti/international/52941.html