iPhoneの基本・プロモデルに注力してきたアップルが最近、低価格普及型とフォルダブルフォン市場に目を向けている。サムスン電子が優位を維持してきた分野であるだけに、両社間の競争が新たな局面に入るという分析が出ている。ただ、米国の関税政策が変数となる。
今年2月、アップルが3年ぶりに普及型モデル「iPhone16e」を公開し、市場シェア競争がさらに熱くなっている。市場調査会社カウンターポイントリサーチによると、今年1-3月期の全世界スマートフォン販売量(最終消費者購買基準)はアップルがサムスンを抑えて1位になった。2015年の関連調査開始以降初めてだ。通常1-3月期はギャラクシーSシリーズを販売するサムスンのシェアが高かった。
カウンターポイントリサーチのパク・ジンソク研究員は「iPhone16eが日本など一部の市場でアップルのシェア拡大に寄与した」と説明した。アップルはiPhone16eの価格帯を従来の普及型SE(50万ウォン台)より高くフラッグシップモデルのiPhone16基本(125万ウォン、約12万5000円))より低い99万ウォン(128GB基準)に設定した。高価モデルに負担を感じる消費者に選択肢を増やしたのだ。また下半期のiPhone17シリーズ販売前まで製品の空白を埋める効果も生じた。
さらに今年のサムスンギャラクシーS25シリーズ販売が例年より遅かった点、トランプ米大統領の関税政策に対応して消費者が先にiPhoneを購入した点も影響を及ぼしたと分析される。
ただ、出荷量基準では依然としてサムスン(20%)がアップル(19%)を上回っていてグローバル1位だ。出荷量は製造企業が流通・通信など販売会社に製品を供給した数量を表す。小売段階で消費者が最終購入した数量を正確に集計するのが難しいため、販売量より市場に投入された全体的な供給規模を示す出荷量が正確な指標と見なされている。
アップルは来年下半期に初のフォルダブルiPhoneを販売することを予告した。サムスンが主導してきたフォルダブル市場に挑戦するということだ。海外メディアはアップルのフォルダブル製品が昨年夏に登場したギャラクシーZフォルド6より約200-400ドル(約2万8000円、5万6000円)高いと予想している。サムスンは2019年以降、フォルダブル市場をリードし、現在は約40-50%台のシェアを維持している。忠誠度が高いアップル消費者層を考慮すると、来年の市場競争はさらに激しくなる可能性が高い。
しかしアップルの挑戦が成功するには越えるべきヤマが多い。まずは米中関税葛藤だ。特にトランプ大統領の予測不可能な動きは不確実性を高めている。米国政府は11日(現地時間)、スマートフォンやPCなど主要IT製品に対して一時的に相互関税を免除すると発表したが、その2日後にトランプ大統領が「非金銭的障壁を含むすべての不公正貿易に断固対応する」と明らかにし、業界に混乱をもたらした。
iPhone生産の80%を中国に依存するアップルとしては相互関税が現実化する場合、価格が最大2.5倍まで上がるという見方が出ている。価格上昇時にはシェア下落を、内部吸収時には収益性悪化を覚悟しなければならないジレンマに直面している。さらに市場が萎縮する可能性もある。カウンターポイントリサーチは関税と貿易葛藤でグローバル経済の不確実性が高まり、今年の成長予測値の年間4%に達しない可能性があり、0%またはマイナスに転じることもあると分析した。
2025/04/18 11:50
https://japanese.joins.com/JArticle/332730