トランプ米国大統領が17日(現地時間)、イタリアのメローニ首相との首脳会談で、中国との談判に先立ち同盟国との交渉の原則を迂回的に公開した。
前日の赤沢亮正経済再生担当相が率いる日本側との交渉後に沈黙していたトランプ大統領が、この日は2度にわたり記者との問答に応じた。相手国の首脳を座らせたまま1時間近く行われたトランプ大統領の一方的な「演説」の間、メローニ首相は頭を抱えるど厳しい表情を見せた。
韓国は日本とイタリアに続いて来週、米国との交渉を控えている。
◆「話は聞くが…取引は私が決める」
トランプ大統領はこの日、「多くの国が(米国との)交渉を希望していて、彼らが私より強く交渉を望んでいる」」と主張した。続いて「我々は(貿易相手国の立場を)聞いて公正に対応するはずで、すべての国と交渉がうまく進行している」と述べた。
しかし「彼らが取引を望まない場合、我々が彼らのための取引を作る」とし「取引を決めるのは我々であり(we’are the one that sets the deal)、それが我々がすること」と話した。相手国の立場を聞くというが、事実上、本人の希望に合う協議案だけに同意するという本心を表した言葉と解釈される。
会談に同席したベッセント米財務長官は「我々はビッグ15経済国との交渉を優先している」とし「日本との前日の会談は満足できるものであり、EUとも電話をした。韓国は来週訪問し、インドとも対話中で、非常に迅速に進行している」と述べた。トランプ大統領が示唆した交渉規則が適用される対象に事実上、韓国を含む核心同盟国を挙げたのだ。
◆「米国は他国が望むものを持つ」
トランプ大統領が交渉結果に自信を持つ背景には世界最大規模の米国市場がある。トランプ大統領はこの日、「我々は彼らが望むものを持っているため、欧州であれ他の誰であれ協定を結ぶうえでいかなる問題もないだろう」と述べた。
続いて記者らに対し「それが何を意味するか知っているだろう」とし「誰であれ『大きくて美しいデパート』に入ることを望むが、我々が合意できなければ関税を課し、そして『入ってきてショッピングをしなさい』と言う」と話した。そして「関税を好まないなら米国というデパートで販売しなければよい」と語った。
トランプ大統領は特に東南アジア3カ国を歴訪して米国に対応する連帯を構築しようとする中国の習近平国家主席について「全く心配していない」とし「誰も我々と競争することはできない」と主張した。解釈によっては中国と交渉をする国に対しては不利益を与える可能性もあるという意味だった。
外交筋は「米国に輸出するには自分が受け入れる条件を先に提示して市場に進入したり、そうでなければ一方的に高率の関税を払って対米輸出を事実上放棄すべきという意味」とし「対米輸出依存度が高い韓国などには致命的な原則」と話した。
◆「ウクライナ、米国との鉱物協定締結を提案」
トランプ大統領はこの日、イタリアの首相を座らせながら進めたメディアとの問答の相当部分を欧州安保の最大懸案であるウクライナ戦争関連事案に割いた。これに対し、事実上交渉に臨む相手国に要求する交渉カードが安保と関連していることを迂回的に示唆したという評価が出てきた。
実際、トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領が米国との鉱物協定に関する意向書(MOI)締結を提案したとし、「24日に署名されるはず」と明らかにした。トランプ大統領はその間、米国がウクライナ戦争を支援した見返りにレアアース(希土類)などに関する鉱物協定締結を要求してきたが、ロシアとの長期戦で安保危機に陥ったウクライナが結局、米国に利権を提供することで合意したということだ。
トランプ大統領は「ゼレンスキーは最高の仕事をせず、私は彼のファンではない」と語った。また、中国がロシアに武器を供給しているというゼレンスキー大統領の主張について「それは彼の発言であり、私のものではない」とし「コメントできない」と話した。
◆「GDPの2%、決して十分でない」
トランプ大統領の安保関連発言が出ると、メローニ首相が口を開いた。メローニ首相は「次のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席し(イタリアは)防衛費をGDP(国内総生産)の2%に引き上げたと発表する」と述べた。
しかしトランプ大統領は「GDPの2%が十分か」という質問に対し「決して十分でない(Never enough)」と答えた。トランプ大統領は当初、NATOが国防費支出をGDPの2%以上に高めるべきと述べていたが、最近になって基準線を5%に高めた。
韓国も同じ要求を受ける可能性がある。特にトランプ大統領はすでに8日の韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行との電話で安保問題に言及しながら「貿易と関税以外の懸案も共に協議していて、これがまさに『ワンストップショッピング』という美しく効率的な方式」と述べた。
トランプ大統領は昨年の大統領選挙期間中、韓国を「マネーマシン」と呼び、「私が大統領だったら韓国は防衛費として年間100億ドル(約1兆4000億円)を出したはず」と発言した。100億ドルは韓国が現在の分担金の10倍にのぼる。
2025/04/19 12:58
https://japanese.joins.com/JArticle/332750